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JCRRAG_010901
国語
その遊びにどんな名がついているのか知らない。まだそんな遊びをいまの子どもたちがはたしてするのか、町を歩くとき私は注意してみるがこれまでみたためしがない。あのころつまり私たちがその遊びをしていた当時でさえ、他の子どもたちはそういう遊びを知っていたかどうかもあやしい。いちおう私と同年輩の人にたずねてみたいと思う。  なんだか私たちのあいだにだけあり、後にも先にもないもののような気がする。そう思うことは楽しい。してみると私たちのなかまのたれかが創案したのだが、いったいたれだろう、あんなあわれ深い遊戯をつくり出したのは。  その遊びというのは、ふたりいればできる。ひとりがかくれんぼのおにのように眼をつむって待っている。そのあいだに他のひとり...
つぎの朝いってさがしあててみると、花はどのようにみえ私はそれと知らず幻滅を覚えたのでしたか。
つぎの朝いってさがしあててみると、花は土のしめりですこしもしおれずしかし明るい朝の光の中ではやや色あせてみえ私はそれと知らず幻滅を覚えたのでした。
JCRRAG_010902
国語
ある日の日暮どき私たちはこの遊びをしていた。私に豆腐屋の林太郎に織布工場のツル――の三人だった。私たちは三人同い年だった。秋葉さんの常夜燈の下でしていた。  ツルは女だからさすがに花をうまくあしらい美しいパノラマをつくる、また彼女はそれをつくり私たちにみせるのがすきだった。ではじめのうち林太郎と私のふたりがおにでツルのかくした花をさがしてばかりいた。  私はツルのつくった花の世界のすばらしさにおどろかされた。彼女は花びらを一つずつ用い草の葉や、草の実をたくみに点景した。ときには帯のあいだにはさんでいる小さい巾着から、砂粒ほどの南京玉を出しそれを花びらのあいだに配した。まるで花園に星のふったように。そしてまた私はツルがすきだった。  ...
私はツルのつくった何のすばらしさにおどろかされましたか。
私はツルのつくった花の世界のすばらしさにおどろかされました。
JCRRAG_010903
国語
ある日の日暮どき私たちはこの遊びをしていた。私に豆腐屋の林太郎に織布工場のツル――の三人だった。私たちは三人同い年だった。秋葉さんの常夜燈の下でしていた。  ツルは女だからさすがに花をうまくあしらい美しいパノラマをつくる、また彼女はそれをつくり私たちにみせるのがすきだった。ではじめのうち林太郎と私のふたりがおにでツルのかくした花をさがしてばかりいた。  私はツルのつくった花の世界のすばらしさにおどろかされた。彼女は花びらを一つずつ用い草の葉や、草の実をたくみに点景した。ときには帯のあいだにはさんでいる小さい巾着から、砂粒ほどの南京玉を出しそれを花びらのあいだに配した。まるで花園に星のふったように。そしてまた私はツルがすきだった。  ...
私は残念でたまらなかったので何をしましたか。
私は残念でたまらなかったのでまた地びたをはいまわりました。
JCRRAG_010904
国語
ある日の日暮どき私たちはこの遊びをしていた。私に豆腐屋の林太郎に織布工場のツル――の三人だった。私たちは三人同い年だった。秋葉さんの常夜燈の下でしていた。  ツルは女だからさすがに花をうまくあしらい美しいパノラマをつくる、また彼女はそれをつくり私たちにみせるのがすきだった。ではじめのうち林太郎と私のふたりがおにでツルのかくした花をさがしてばかりいた。  私はツルのつくった花の世界のすばらしさにおどろかされた。彼女は花びらを一つずつ用い草の葉や、草の実をたくみに点景した。ときには帯のあいだにはさんでいる小さい巾着から、砂粒ほどの南京玉を出しそれを花びらのあいだに配した。まるで花園に星のふったように。そしてまた私はツルがすきだった。  ...
私はひとりで何をさがしましたか。
私はひとりでツルのかくした花をさがしました。
JCRRAG_010905
国語
ある日の日暮どき私たちはこの遊びをしていた。私に豆腐屋の林太郎に織布工場のツル――の三人だった。私たちは三人同い年だった。秋葉さんの常夜燈の下でしていた。  ツルは女だからさすがに花をうまくあしらい美しいパノラマをつくる、また彼女はそれをつくり私たちにみせるのがすきだった。ではじめのうち林太郎と私のふたりがおにでツルのかくした花をさがしてばかりいた。  私はツルのつくった花の世界のすばらしさにおどろかされた。彼女は花びらを一つずつ用い草の葉や、草の実をたくみに点景した。ときには帯のあいだにはさんでいる小さい巾着から、砂粒ほどの南京玉を出しそれを花びらのあいだに配した。まるで花園に星のふったように。そしてまた私はツルがすきだった。  ...
私は林太郎にみられたと気づいた瞬間どのようにびくっとしましたか。
私は林太郎にみられたと気づいた瞬間ぬすみの現行をおさえられたようにびくっとしました。
JCRRAG_010906
国語
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。  わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。  ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家でちょうちんとろうそくを買いました。 「ぼうや、すまないが、ろうそくに火をともしてくれ。」 と、うしかいがわたしにいいました。  わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。  そこで、おっかなびっくり、マッチの棒のはしの方をもってすりました。すると、棒のさきに青い火がともりました。  わたしはその火をろうそくにうつしてやりました。 「や、ありがとう。」 といって、うしかいは、火のともったちょうちんを牛のよこはらのところにつるして、いってしまいま...
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家はどこにありましたか。
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。
JCRRAG_010907
国語
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。  わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。  ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家でちょうちんとろうそくを買いました。 「ぼうや、すまないが、ろうそくに火をともしてくれ。」 と、うしかいがわたしにいいました。  わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。  そこで、おっかなびっくり、マッチの棒のはしの方をもってすりました。すると、棒のさきに青い火がともりました。  わたしはその火をろうそくにうつしてやりました。 「や、ありがとう。」 といって、うしかいは、火のともったちょうちんを牛のよこはらのところにつるして、いってしまいま...
わたしの家では、何を売っておりましたか。
わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。
JCRRAG_010908
国語
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。  わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。  ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家でちょうちんとろうそくを買いました。 「ぼうや、すまないが、ろうそくに火をともしてくれ。」 と、うしかいがわたしにいいました。  わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。  そこで、おっかなびっくり、マッチの棒のはしの方をもってすりました。すると、棒のさきに青い火がともりました。  わたしはその火をろうそくにうつしてやりました。 「や、ありがとう。」 といって、うしかいは、火のともったちょうちんを牛のよこはらのところにつるして、いってしまいま...
わたしはまだ何をしたことがありませんでしたか。
わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。
JCRRAG_010909
国語
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。  わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。  ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家でちょうちんとろうそくを買いました。 「ぼうや、すまないが、ろうそくに火をともしてくれ。」 と、うしかいがわたしにいいました。  わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。  そこで、おっかなびっくり、マッチの棒のはしの方をもってすりました。すると、棒のさきに青い火がともりました。  わたしはその火をろうそくにうつしてやりました。 「や、ありがとう。」 といって、うしかいは、火のともったちょうちんを牛のよこはらのところにつるして、いってしまいま...
わたしはその火を何にうつしてやりましたか。
わたしはその火をろうそくにうつしてやりました。
JCRRAG_010910
国語
大頭の吉太郎君にわかれてから、大作君はもう四つ五つの道かどをまがってきた。こんなふうに景色をかえているうちに、たいていの不愉快なおもいは消えてしまうものである。ところが、今日はそうでなかった。家は貧乏だ、というおもいは、しゅうねんぶかく大作君のあとをつけてきた。まるで、追っても追ってもついてくるすて犬のように。  大作君は、何もいままで自分の家の貧乏なことを知らなかったわけではないのだ。しかしこんなぐあいに、まざまざとみせつけられたのは今日がはじめてであった。  四年生の三学期に大作君は体操をなまけてばかりいたことがあった。それで、体操の点が乙か丙になるだろうということは、前からうすうす思っていた。しかし通知票をもらって、じっさいそ...
大作君は、物置小屋の横から自分の生まれた家を観察するため、顔をすこしさしだしたとき、どのように感じましたか。
大作君は、物置小屋の横から自分の生まれた家を観察するため、顔をすこしさしだしたとき、泥棒でもしようとしているかのように、うしろめたく感じました。
JCRRAG_010911
国語
大頭の吉太郎君にわかれてから、大作君はもう四つ五つの道かどをまがってきた。こんなふうに景色をかえているうちに、たいていの不愉快なおもいは消えてしまうものである。ところが、今日はそうでなかった。家は貧乏だ、というおもいは、しゅうねんぶかく大作君のあとをつけてきた。まるで、追っても追ってもついてくるすて犬のように。  大作君は、何もいままで自分の家の貧乏なことを知らなかったわけではないのだ。しかしこんなぐあいに、まざまざとみせつけられたのは今日がはじめてであった。  四年生の三学期に大作君は体操をなまけてばかりいたことがあった。それで、体操の点が乙か丙になるだろうということは、前からうすうす思っていた。しかし通知票をもらって、じっさいそ...
どのようなおもいが、しゅうねんぶかく大作君のあとをつけてきましたか。
家は貧乏だ、というおもいが、しゅうねんぶかく大作君のあとをつけてきました。
JCRRAG_010912
国語
大頭の吉太郎君にわかれてから、大作君はもう四つ五つの道かどをまがってきた。こんなふうに景色をかえているうちに、たいていの不愉快なおもいは消えてしまうものである。ところが、今日はそうでなかった。家は貧乏だ、というおもいは、しゅうねんぶかく大作君のあとをつけてきた。まるで、追っても追ってもついてくるすて犬のように。  大作君は、何もいままで自分の家の貧乏なことを知らなかったわけではないのだ。しかしこんなぐあいに、まざまざとみせつけられたのは今日がはじめてであった。  四年生の三学期に大作君は体操をなまけてばかりいたことがあった。それで、体操の点が乙か丙になるだろうということは、前からうすうす思っていた。しかし通知票をもらって、じっさいそ...
幸助は、どのようなやつですか。
幸助は、なんでもひろってきて、人のみないところにかくしておき、ひとりでとてつもないことを大まじめに考えているという変なやつです。
JCRRAG_010913
国語
宝蔵倉の前で、少年たちが模型グライダーを飛ばしていた。みんな大なり小なりグライダーを持っていたが、なかに大作君の弟の幸助だけが持っていなかった。幸助はそこで、みんなの飛ばすグライダーをひろう役目をさせてもらっていた。みんなの手から飛んでいったグライダーが宝蔵倉の戸か壁にあたって地べたに落ちる。すると幸助が走っていって、それをひろってくる。幸助は、ひろって持ち主のところまでいくあいだ、グライダーを持つことができる、それによってわずかに自分のグライダー欲をみたしていたのである。だから幸助は、その役をうばわれないようにみんなのご機嫌をとっていた。ちょうど上衣のポケットのすみに穴があいていたので、ポケットにつっこんだ手の人指指をその穴から出...
何の前で、少年たちが模型グライダーを飛ばしていましたか。
宝蔵倉の前で、少年たちが模型グライダーを飛ばしていました。
JCRRAG_010914
国語
宝蔵倉の前で、少年たちが模型グライダーを飛ばしていた。みんな大なり小なりグライダーを持っていたが、なかに大作君の弟の幸助だけが持っていなかった。幸助はそこで、みんなの飛ばすグライダーをひろう役目をさせてもらっていた。みんなの手から飛んでいったグライダーが宝蔵倉の戸か壁にあたって地べたに落ちる。すると幸助が走っていって、それをひろってくる。幸助は、ひろって持ち主のところまでいくあいだ、グライダーを持つことができる、それによってわずかに自分のグライダー欲をみたしていたのである。だから幸助は、その役をうばわれないようにみんなのご機嫌をとっていた。ちょうど上衣のポケットのすみに穴があいていたので、ポケットにつっこんだ手の人指指をその穴から出...
大作君は誰をものかげによびましたか。
大作君は幸助をものかげによびました。
JCRRAG_010915
国語
宝蔵倉の前で、少年たちが模型グライダーを飛ばしていた。みんな大なり小なりグライダーを持っていたが、なかに大作君の弟の幸助だけが持っていなかった。幸助はそこで、みんなの飛ばすグライダーをひろう役目をさせてもらっていた。みんなの手から飛んでいったグライダーが宝蔵倉の戸か壁にあたって地べたに落ちる。すると幸助が走っていって、それをひろってくる。幸助は、ひろって持ち主のところまでいくあいだ、グライダーを持つことができる、それによってわずかに自分のグライダー欲をみたしていたのである。だから幸助は、その役をうばわれないようにみんなのご機嫌をとっていた。ちょうど上衣のポケットのすみに穴があいていたので、ポケットにつっこんだ手の人指指をその穴から出...
大作君は弁当を持って、どこへいきましたか。
大作君は弁当を持って、和五郎さんの麦畠の方へいきました。
JCRRAG_010916
国語
宝蔵倉の前で、少年たちが模型グライダーを飛ばしていた。みんな大なり小なりグライダーを持っていたが、なかに大作君の弟の幸助だけが持っていなかった。幸助はそこで、みんなの飛ばすグライダーをひろう役目をさせてもらっていた。みんなの手から飛んでいったグライダーが宝蔵倉の戸か壁にあたって地べたに落ちる。すると幸助が走っていって、それをひろってくる。幸助は、ひろって持ち主のところまでいくあいだ、グライダーを持つことができる、それによってわずかに自分のグライダー欲をみたしていたのである。だから幸助は、その役をうばわれないようにみんなのご機嫌をとっていた。ちょうど上衣のポケットのすみに穴があいていたので、ポケットにつっこんだ手の人指指をその穴から出...
お百姓の和五郎さんとおかみさんは、何といって笑いころげましたか。
お百姓の和五郎さんとおかみさんは、加重さんの走り方がおかしいといって笑いころげました。
JCRRAG_010917
国語
六月の終わりの暑い日に、近くの町の公園グランドで連合競技会が行なわれた。  その最後の種目は、六年男子の綱持競走であった。長さ五メートルぐらいの一本の綱を一組二十人の者が持って、距離四キロを走破するのである。そしてこの競走のだいじなところは、二十人のうちひとりでも落伍してはだめだということだ。  なんだか知らないが、戦線における皇軍のある仕事をしのばせるから、大作君たちはこの競走には勝とうという悲壮な決意が、はじめからみんなのはらの中にできていた。  いざ出場となると、大作君たちはおたがいの緊張した顔を、いやに黒くげんこつみたいに小さいなアと思いながら、もくもくとはだしになり、運動帽のふちのひもを頭がいたくなるほどしめなおした。  ...
最後の種目は何でしたか。
最後の種目は、六年男子の綱持競走でした。
JCRRAG_010918
国語
六月の終わりの暑い日に、近くの町の公園グランドで連合競技会が行なわれた。  その最後の種目は、六年男子の綱持競走であった。長さ五メートルぐらいの一本の綱を一組二十人の者が持って、距離四キロを走破するのである。そしてこの競走のだいじなところは、二十人のうちひとりでも落伍してはだめだということだ。  なんだか知らないが、戦線における皇軍のある仕事をしのばせるから、大作君たちはこの競走には勝とうという悲壮な決意が、はじめからみんなのはらの中にできていた。  いざ出場となると、大作君たちはおたがいの緊張した顔を、いやに黒くげんこつみたいに小さいなアと思いながら、もくもくとはだしになり、運動帽のふちのひもを頭がいたくなるほどしめなおした。  ...
大作君たちはおたがいの緊張した顔を、いやに黒くげんこつみたいに小さいなアと思いながら、何をしましたか。
大作君たちはおたがいの緊張した顔を、いやに黒くげんこつみたいに小さいなアと思いながら、もくもくとはだしになり、運動帽のふちのひもを頭がいたくなるほどしめなおしました。
JCRRAG_010919
国語
六月の終わりの暑い日に、近くの町の公園グランドで連合競技会が行なわれた。  その最後の種目は、六年男子の綱持競走であった。長さ五メートルぐらいの一本の綱を一組二十人の者が持って、距離四キロを走破するのである。そしてこの競走のだいじなところは、二十人のうちひとりでも落伍してはだめだということだ。  なんだか知らないが、戦線における皇軍のある仕事をしのばせるから、大作君たちはこの競走には勝とうという悲壮な決意が、はじめからみんなのはらの中にできていた。  いざ出場となると、大作君たちはおたがいの緊張した顔を、いやに黒くげんこつみたいに小さいなアと思いながら、もくもくとはだしになり、運動帽のふちのひもを頭がいたくなるほどしめなおした。  ...
大作君の学校は小さいので、何人出ると六年男子はほとんどみんなですか。
大作君の学校は小さいので、二十人出ると六年男子はほとんどみんなです。
JCRRAG_010920
国語
六月の終わりの暑い日に、近くの町の公園グランドで連合競技会が行なわれた。  その最後の種目は、六年男子の綱持競走であった。長さ五メートルぐらいの一本の綱を一組二十人の者が持って、距離四キロを走破するのである。そしてこの競走のだいじなところは、二十人のうちひとりでも落伍してはだめだということだ。  なんだか知らないが、戦線における皇軍のある仕事をしのばせるから、大作君たちはこの競走には勝とうという悲壮な決意が、はじめからみんなのはらの中にできていた。  いざ出場となると、大作君たちはおたがいの緊張した顔を、いやに黒くげんこつみたいに小さいなアと思いながら、もくもくとはだしになり、運動帽のふちのひもを頭がいたくなるほどしめなおした。  ...
大作君たちはトップではありませんでしたが、どのようなつもりでしたか。
大作君たちはトップではありませんでしたが、そうとう前の方に走っているでした。
JCRRAG_010921
国語
六月の終わりの暑い日に、近くの町の公園グランドで連合競技会が行なわれた。  その最後の種目は、六年男子の綱持競走であった。長さ五メートルぐらいの一本の綱を一組二十人の者が持って、距離四キロを走破するのである。そしてこの競走のだいじなところは、二十人のうちひとりでも落伍してはだめだということだ。  なんだか知らないが、戦線における皇軍のある仕事をしのばせるから、大作君たちはこの競走には勝とうという悲壮な決意が、はじめからみんなのはらの中にできていた。  いざ出場となると、大作君たちはおたがいの緊張した顔を、いやに黒くげんこつみたいに小さいなアと思いながら、もくもくとはだしになり、運動帽のふちのひもを頭がいたくなるほどしめなおした。  ...
だまっている者は、何をじっとこらえているのだ、と大作君は思いましたか。
だまっている者は、きっと横腹のいたむのや胸の苦しいのをじっとこらえているのだ、と大作君は思いました。
JCRRAG_010922
国語
大作君は、腹もいたまねば胸も苦しくなかった。この調子ならまだ十キロぐらい走れる、と思った。しかし眼がちらちらして、風景がはっきりうつらなかった。ときどき、道の角の花をつけた夾竹桃や、太陽の直射に背中の毛を繻子のように光らせて道ばたに休んでいる牛の姿が、眼にとびこんでくるだけであった。  公園の入口のみえる長い直線道路に出たとき、大作君たちは急にかけ声をやめてしまった。すぐまえを、紫色のはちまきした一組が足なみそろえて走っていた。大作君たちの組がだまってしまったのは、あの強敵をぬこうという、みんなの決意のあらわれだ、と大作君は思った。  ひっそりして大作君たちは紫のはちまきにせまっていった。敵も大作君たちをみとめるや、声を消してしまっ...
大作君は、この調子ならまだどのくらい走れる、と思いましたか。
大作君は、この調子ならまだ十キロぐらい走れる、と思いました。
JCRRAG_010923
国語
大作君は、腹もいたまねば胸も苦しくなかった。この調子ならまだ十キロぐらい走れる、と思った。しかし眼がちらちらして、風景がはっきりうつらなかった。ときどき、道の角の花をつけた夾竹桃や、太陽の直射に背中の毛を繻子のように光らせて道ばたに休んでいる牛の姿が、眼にとびこんでくるだけであった。  公園の入口のみえる長い直線道路に出たとき、大作君たちは急にかけ声をやめてしまった。すぐまえを、紫色のはちまきした一組が足なみそろえて走っていた。大作君たちの組がだまってしまったのは、あの強敵をぬこうという、みんなの決意のあらわれだ、と大作君は思った。  ひっそりして大作君たちは紫のはちまきにせまっていった。敵も大作君たちをみとめるや、声を消してしまっ...
大作君たちの組がだまってしまったのは、どのような決意のあらわれだ、と大作君は思いましたか。
大作君たちの組がだまってしまったのは、あの強敵をぬこうという、みんなの決意のあらわれだ、と大作君は思いました。
JCRRAG_010924
国語
大作君は、腹もいたまねば胸も苦しくなかった。この調子ならまだ十キロぐらい走れる、と思った。しかし眼がちらちらして、風景がはっきりうつらなかった。ときどき、道の角の花をつけた夾竹桃や、太陽の直射に背中の毛を繻子のように光らせて道ばたに休んでいる牛の姿が、眼にとびこんでくるだけであった。  公園の入口のみえる長い直線道路に出たとき、大作君たちは急にかけ声をやめてしまった。すぐまえを、紫色のはちまきした一組が足なみそろえて走っていた。大作君たちの組がだまってしまったのは、あの強敵をぬこうという、みんなの決意のあらわれだ、と大作君は思った。  ひっそりして大作君たちは紫のはちまきにせまっていった。敵も大作君たちをみとめるや、声を消してしまっ...
大作君たちは、どのようにして追いぬいていきましたか。
大作君たちは、ひっそりとして追いぬいていきました。
JCRRAG_010925
国語
大作君は、腹もいたまねば胸も苦しくなかった。この調子ならまだ十キロぐらい走れる、と思った。しかし眼がちらちらして、風景がはっきりうつらなかった。ときどき、道の角の花をつけた夾竹桃や、太陽の直射に背中の毛を繻子のように光らせて道ばたに休んでいる牛の姿が、眼にとびこんでくるだけであった。  公園の入口のみえる長い直線道路に出たとき、大作君たちは急にかけ声をやめてしまった。すぐまえを、紫色のはちまきした一組が足なみそろえて走っていた。大作君たちの組がだまってしまったのは、あの強敵をぬこうという、みんなの決意のあらわれだ、と大作君は思った。  ひっそりして大作君たちは紫のはちまきにせまっていった。敵も大作君たちをみとめるや、声を消してしまっ...
大作君たちはどこにいって休み、やがてだんだん元気がかえってきましたか。
大作君たちは楡の大木のかげにいって休み、やがてだんだん元気がかえってきました。
JCRRAG_010926
国語
大作君は、腹もいたまねば胸も苦しくなかった。この調子ならまだ十キロぐらい走れる、と思った。しかし眼がちらちらして、風景がはっきりうつらなかった。ときどき、道の角の花をつけた夾竹桃や、太陽の直射に背中の毛を繻子のように光らせて道ばたに休んでいる牛の姿が、眼にとびこんでくるだけであった。  公園の入口のみえる長い直線道路に出たとき、大作君たちは急にかけ声をやめてしまった。すぐまえを、紫色のはちまきした一組が足なみそろえて走っていた。大作君たちの組がだまってしまったのは、あの強敵をぬこうという、みんなの決意のあらわれだ、と大作君は思った。  ひっそりして大作君たちは紫のはちまきにせまっていった。敵も大作君たちをみとめるや、声を消してしまっ...
大作君たちは停留場の外の葉桜の日かげに腰をおろして、どちらの方をぼんやりみていましたか。
大作君たちは停留場の外の葉桜の日かげに腰をおろして、向こう側のかりとられた小麦畠の方をぼんやりみていました。
JCRRAG_010927
国語
小麦のかりとられたあとに一輪の矢車草の花がさいていて、なんということなく、みんなの眼をひいた。 「あんなとこに、矢車草があるげや。」  そう兵太郎君がいった。 「うん。」 と大作君が答えた。  するとみんなのうしろにすわって、すこしきまりわるそうにしていた大頭の吉太郎君が、 「とってこうか。」 といって、小走りに走っていき、二メートルほどの赭土の傾斜をいせいよくかけのぼった。  みんなは顔を見合わせた。吉太郎君がすこし元気すぎるのだ。あんなに元気なら、なぜ最後までがんばらなかったのか。みんなの心にはいまになって、優勝をとりにがしたいまいましさがよみがえってきた。  吉太郎君は矢車草をとって、みんなのそばにもどってきた。 「やろか。」...
吉太郎君は何をとって、みんなのそばにもどってきましたか。
吉太郎君は矢車草をとって、みんなのそばにもどってきました。
JCRRAG_010928
国語
小麦のかりとられたあとに一輪の矢車草の花がさいていて、なんということなく、みんなの眼をひいた。 「あんなとこに、矢車草があるげや。」  そう兵太郎君がいった。 「うん。」 と大作君が答えた。  するとみんなのうしろにすわって、すこしきまりわるそうにしていた大頭の吉太郎君が、 「とってこうか。」 といって、小走りに走っていき、二メートルほどの赭土の傾斜をいせいよくかけのぼった。  みんなは顔を見合わせた。吉太郎君がすこし元気すぎるのだ。あんなに元気なら、なぜ最後までがんばらなかったのか。みんなの心にはいまになって、優勝をとりにがしたいまいましさがよみがえってきた。  吉太郎君は矢車草をとって、みんなのそばにもどってきた。 「やろか。」...
みんなはあきらかに誰をにくんでいましたか。
みんなはあきらかに吉太郎君をにくんでいました。
JCRRAG_010929
国語
小麦のかりとられたあとに一輪の矢車草の花がさいていて、なんということなく、みんなの眼をひいた。 「あんなとこに、矢車草があるげや。」  そう兵太郎君がいった。 「うん。」 と大作君が答えた。  するとみんなのうしろにすわって、すこしきまりわるそうにしていた大頭の吉太郎君が、 「とってこうか。」 といって、小走りに走っていき、二メートルほどの赭土の傾斜をいせいよくかけのぼった。  みんなは顔を見合わせた。吉太郎君がすこし元気すぎるのだ。あんなに元気なら、なぜ最後までがんばらなかったのか。みんなの心にはいまになって、優勝をとりにがしたいまいましさがよみがえってきた。  吉太郎君は矢車草をとって、みんなのそばにもどってきた。 「やろか。」...
大作君は何についてまよいましたか。
大作君はこの氷の破片をどうしようかとまよいました。
JCRRAG_010930
国語
小麦のかりとられたあとに一輪の矢車草の花がさいていて、なんということなく、みんなの眼をひいた。 「あんなとこに、矢車草があるげや。」  そう兵太郎君がいった。 「うん。」 と大作君が答えた。  するとみんなのうしろにすわって、すこしきまりわるそうにしていた大頭の吉太郎君が、 「とってこうか。」 といって、小走りに走っていき、二メートルほどの赭土の傾斜をいせいよくかけのぼった。  みんなは顔を見合わせた。吉太郎君がすこし元気すぎるのだ。あんなに元気なら、なぜ最後までがんばらなかったのか。みんなの心にはいまになって、優勝をとりにがしたいまいましさがよみがえってきた。  吉太郎君は矢車草をとって、みんなのそばにもどってきた。 「やろか。」...
大作君もみんなのように、誰のふがいなさに腹を立てていましたか。
大作君もみんなのように、吉太郎君のふがいなさに腹を立てていました。
JCRRAG_010931
国語
小麦のかりとられたあとに一輪の矢車草の花がさいていて、なんということなく、みんなの眼をひいた。 「あんなとこに、矢車草があるげや。」  そう兵太郎君がいった。 「うん。」 と大作君が答えた。  するとみんなのうしろにすわって、すこしきまりわるそうにしていた大頭の吉太郎君が、 「とってこうか。」 といって、小走りに走っていき、二メートルほどの赭土の傾斜をいせいよくかけのぼった。  みんなは顔を見合わせた。吉太郎君がすこし元気すぎるのだ。あんなに元気なら、なぜ最後までがんばらなかったのか。みんなの心にはいまになって、優勝をとりにがしたいまいましさがよみがえってきた。  吉太郎君は矢車草をとって、みんなのそばにもどってきた。 「やろか。」...
大作君は、そっと、氷をうつむいている誰の手ににぎらせましたか。
大作君は、そっと、氷をうつむいている吉太郎君の手ににぎらせました。
JCRRAG_010932
国語
その夜、大作君はくたびれたので、柱をふまえてねそべっていた。下からみたって、いつもみなれたすかんぴんの貧しい家であった。しかし大作君の心は、いまは安らかにここに落ち着いていた。貧乏なことになんの不平もなかった。  そこへ風呂からあがったはだかん坊の弟たちが、湯気につつまれながら出てきた。そして大作君の頭のかたわらで相撲をとりはじめた。どんどんと大作君の頭にひびいた。  いつもなら大作君は、「やめんかッ」と、優等生の兄さんらしくどなるところだ。しかし今夜はしからなかった。弟たちの健康なはだかん坊をたのもしいもののようにみていた。足音が大きくひびいてくればくるほど気持ちがよかった。――おお! 力を出せ! 力のありったけを出せ! 家がつぶ...
大作君は、弟たちの健康なはだかん坊をどのようにみていましたか。
大作君は、弟たちの健康なはだかん坊をたのもしいもののようにみていました。
JCRRAG_010933
国語
その夜、大作君はくたびれたので、柱をふまえてねそべっていた。下からみたって、いつもみなれたすかんぴんの貧しい家であった。しかし大作君の心は、いまは安らかにここに落ち着いていた。貧乏なことになんの不平もなかった。  そこへ風呂からあがったはだかん坊の弟たちが、湯気につつまれながら出てきた。そして大作君の頭のかたわらで相撲をとりはじめた。どんどんと大作君の頭にひびいた。  いつもなら大作君は、「やめんかッ」と、優等生の兄さんらしくどなるところだ。しかし今夜はしからなかった。弟たちの健康なはだかん坊をたのもしいもののようにみていた。足音が大きくひびいてくればくるほど気持ちがよかった。――おお! 力を出せ! 力のありったけを出せ! 家がつぶ...
大作君はくたびれたので、どのようにねそべっていましたか。
大作君はくたびれたので、柱をふまえてねそべっていました。
JCRRAG_010934
国語
その夜、大作君はくたびれたので、柱をふまえてねそべっていた。下からみたって、いつもみなれたすかんぴんの貧しい家であった。しかし大作君の心は、いまは安らかにここに落ち着いていた。貧乏なことになんの不平もなかった。  そこへ風呂からあがったはだかん坊の弟たちが、湯気につつまれながら出てきた。そして大作君の頭のかたわらで相撲をとりはじめた。どんどんと大作君の頭にひびいた。  いつもなら大作君は、「やめんかッ」と、優等生の兄さんらしくどなるところだ。しかし今夜はしからなかった。弟たちの健康なはだかん坊をたのもしいもののようにみていた。足音が大きくひびいてくればくるほど気持ちがよかった。――おお! 力を出せ! 力のありったけを出せ! 家がつぶ...
大作君は、誰を両腕でだきあげましたか。
大作君は、ちびの五郎を両腕でだきあげました。
JCRRAG_010935
国語
その夜、大作君はくたびれたので、柱をふまえてねそべっていた。下からみたって、いつもみなれたすかんぴんの貧しい家であった。しかし大作君の心は、いまは安らかにここに落ち着いていた。貧乏なことになんの不平もなかった。  そこへ風呂からあがったはだかん坊の弟たちが、湯気につつまれながら出てきた。そして大作君の頭のかたわらで相撲をとりはじめた。どんどんと大作君の頭にひびいた。  いつもなら大作君は、「やめんかッ」と、優等生の兄さんらしくどなるところだ。しかし今夜はしからなかった。弟たちの健康なはだかん坊をたのもしいもののようにみていた。足音が大きくひびいてくればくるほど気持ちがよかった。――おお! 力を出せ! 力のありったけを出せ! 家がつぶ...
大作君は、何に眼がとまりましたか。
大作君は、神棚の下にたらしてはってある四角な紙に眼がとまりました。
JCRRAG_010936
国語
その夜、大作君はくたびれたので、柱をふまえてねそべっていた。下からみたって、いつもみなれたすかんぴんの貧しい家であった。しかし大作君の心は、いまは安らかにここに落ち着いていた。貧乏なことになんの不平もなかった。  そこへ風呂からあがったはだかん坊の弟たちが、湯気につつまれながら出てきた。そして大作君の頭のかたわらで相撲をとりはじめた。どんどんと大作君の頭にひびいた。  いつもなら大作君は、「やめんかッ」と、優等生の兄さんらしくどなるところだ。しかし今夜はしからなかった。弟たちの健康なはだかん坊をたのもしいもののようにみていた。足音が大きくひびいてくればくるほど気持ちがよかった。――おお! 力を出せ! 力のありったけを出せ! 家がつぶ...
国民六年加藤大作君は、きいていて、どのような感覚を覚えましたか。
国民六年加藤大作君は、きいていて、喜びのために胸があつくなるのを覚えました。
JCRRAG_010937
国語
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。  町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。  王さまは靴屋の店にはいって、 「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」 とたずねました。  靴屋のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、 「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」 と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました。 「これ、名まえはなんと申すぞ。」 とまた王さまはたずねました。 「ひとにくちをきくには、もっとていねいにいうものだというのに。」 とじいさんはまた、ぶっきらぼうにいって、仕事をしつづけました。...
王さまは靴屋の店にはいって、何とたずねましたか。
王さまは靴屋の店にはいって、「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」とたずねました。
JCRRAG_010938
国語
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。  町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。  王さまは靴屋の店にはいって、 「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」 とたずねました。  靴屋のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、 「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」 と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました。 「これ、名まえはなんと申すぞ。」 とまた王さまはたずねました。 「ひとにくちをきくには、もっとていねいにいうものだというのに。」 とじいさんはまた、ぶっきらぼうにいって、仕事をしつづけました。...
王さまは、どのように思って、こんどはやさしく、「おまえの名まえを教えておくれ。」とたのみましたか。
王さまは、なるほどじぶんがまちがっていた、と思って、こんどはやさしく、「おまえの名まえを教えておくれ。」とたのみました。
JCRRAG_010939
国語
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。  町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。  王さまは靴屋の店にはいって、 「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」 とたずねました。  靴屋のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、 「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」 と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました。 「これ、名まえはなんと申すぞ。」 とまた王さまはたずねました。 「ひとにくちをきくには、もっとていねいにいうものだというのに。」 とじいさんはまた、ぶっきらぼうにいって、仕事をしつづけました。...
王さまは、金の時計をポケットから出して、誰のひざにのせましたか。
王さまは、金の時計をポケットから出して、じいさんのひざにのせました。
JCRRAG_010940
国語
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。  町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。  王さまは靴屋の店にはいって、 「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」 とたずねました。  靴屋のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、 「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」 と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました。 「これ、名まえはなんと申すぞ。」 とまた王さまはたずねました。 「ひとにくちをきくには、もっとていねいにいうものだというのに。」 とじいさんはまた、ぶっきらぼうにいって、仕事をしつづけました。...
王さまはどのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきましたか。
王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。
JCRRAG_010941
国語
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。  町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。  王さまは靴屋の店にはいって、 「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」 とたずねました。  靴屋のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、 「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」 と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました。 「これ、名まえはなんと申すぞ。」 とまた王さまはたずねました。 「ひとにくちをきくには、もっとていねいにいうものだというのに。」 とじいさんはまた、ぶっきらぼうにいって、仕事をしつづけました。...
王さまは、こころを花のようにあかるくして、何とくりかえしながら、宮殿のほうへかえってゆきましたか。
王さまは、こころを花のようにあかるくして、「わしの人民はよい人民だ。わしの人民はよい人民だ。」とくりかえしながら、宮殿のほうへかえってゆきました。
JCRRAG_010942
国語
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれてあります。先生はその前を右へいったり左へいったり、ときにはそこから生徒たちの方へおりてきて、生徒たちがせっせと作文を書いているのをのぞいたりします。みんなは頭を動かし動かし犬のことを作文に書いています。家でかっている犬のこと。かわいそうなのら犬のこと。どこかの犬にほえつかれたこと。それぞれかわったことを書いています。  いちばんうしろの、えんぴつけずりの前では酒屋の次郎君がこつこつと書いています。先生が書く前になんども字を美しくきれいに書かねばなりませんと注意なさったにもかかわらず、ごてごてと汚く書きこんでいます。けしゴムがそこにあるのに書きちがえると指の先につばをつけてこすってしまいます...
どのような字が黒板に書かれていますか。
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれています。
JCRRAG_010943
国語
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれてあります。先生はその前を右へいったり左へいったり、ときにはそこから生徒たちの方へおりてきて、生徒たちがせっせと作文を書いているのをのぞいたりします。みんなは頭を動かし動かし犬のことを作文に書いています。家でかっている犬のこと。かわいそうなのら犬のこと。どこかの犬にほえつかれたこと。それぞれかわったことを書いています。  いちばんうしろの、えんぴつけずりの前では酒屋の次郎君がこつこつと書いています。先生が書く前になんども字を美しくきれいに書かねばなりませんと注意なさったにもかかわらず、ごてごてと汚く書きこんでいます。けしゴムがそこにあるのに書きちがえると指の先につばをつけてこすってしまいます...
みんなは頭を動かし動かし何のことを作文を書いていますか。
みんなは頭を動かし動かし犬のことを作文に書いています。
JCRRAG_010944
国語
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれてあります。先生はその前を右へいったり左へいったり、ときにはそこから生徒たちの方へおりてきて、生徒たちがせっせと作文を書いているのをのぞいたりします。みんなは頭を動かし動かし犬のことを作文に書いています。家でかっている犬のこと。かわいそうなのら犬のこと。どこかの犬にほえつかれたこと。それぞれかわったことを書いています。  いちばんうしろの、えんぴつけずりの前では酒屋の次郎君がこつこつと書いています。先生が書く前になんども字を美しくきれいに書かねばなりませんと注意なさったにもかかわらず、ごてごてと汚く書きこんでいます。けしゴムがそこにあるのに書きちがえると指の先につばをつけてこすってしまいます...
いちばんうしろの、えんぴつけずりの前では誰がこつこつと書いていますか。
いちばんうしろの、えんぴつけずりの前では酒屋の次郎君がこつこつと書いています。
JCRRAG_010945
国語
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれてあります。先生はその前を右へいったり左へいったり、ときにはそこから生徒たちの方へおりてきて、生徒たちがせっせと作文を書いているのをのぞいたりします。みんなは頭を動かし動かし犬のことを作文に書いています。家でかっている犬のこと。かわいそうなのら犬のこと。どこかの犬にほえつかれたこと。それぞれかわったことを書いています。  いちばんうしろの、えんぴつけずりの前では酒屋の次郎君がこつこつと書いています。先生が書く前になんども字を美しくきれいに書かねばなりませんと注意なさったにもかかわらず、ごてごてと汚く書きこんでいます。けしゴムがそこにあるのに書きちがえると指の先につばをつけてこすってしまいます...
「西郷隆盛」というのは何のことですか。
「西郷隆盛」というのは次郎君ちの犬のことです。
JCRRAG_010946
国語
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれてあります。先生はその前を右へいったり左へいったり、ときにはそこから生徒たちの方へおりてきて、生徒たちがせっせと作文を書いているのをのぞいたりします。みんなは頭を動かし動かし犬のことを作文に書いています。家でかっている犬のこと。かわいそうなのら犬のこと。どこかの犬にほえつかれたこと。それぞれかわったことを書いています。  いちばんうしろの、えんぴつけずりの前では酒屋の次郎君がこつこつと書いています。先生が書く前になんども字を美しくきれいに書かねばなりませんと注意なさったにもかかわらず、ごてごてと汚く書きこんでいます。けしゴムがそこにあるのに書きちがえると指の先につばをつけてこすってしまいます...
次郎くんはどのように腹を立てましたか。
次郎くんは自分が侮辱されたように腹を立てました。
JCRRAG_010947
国語
つぎは体操の時間です。  紅白の帽子の列が東と西に向きあってならんでいます。先生がまん中で笛をふきました。わあっとかん声があがります。紅白の波は向きあって進んできてぶつかります。それからはいりみだれて帽子のとりっくらです。勝負なかばでふたたび笛が鳴ります。すると帽子をとられた者も、まだとられない者もさあっと東西にひきあげていきます。  ところが真中にふたりの少年がお互いに相手の腕をつかんだままにらみあって立っています。足を四方にふんばっていっかな動こうとしません。そのくせふたりとも帽子はとっくにとられて頭は陽にさらされているのです。ふたりは次郎くんと森川くんです。  先生がゆっくり近よってこられました。 「お前らは何をやっているのか...
紅白の帽子の列がどのように向きあってならんでいますか。
紅白の帽子の列が東と西に向きあってならんでいます。
JCRRAG_010948
国語
つぎは体操の時間です。  紅白の帽子の列が東と西に向きあってならんでいます。先生がまん中で笛をふきました。わあっとかん声があがります。紅白の波は向きあって進んできてぶつかります。それからはいりみだれて帽子のとりっくらです。勝負なかばでふたたび笛が鳴ります。すると帽子をとられた者も、まだとられない者もさあっと東西にひきあげていきます。  ところが真中にふたりの少年がお互いに相手の腕をつかんだままにらみあって立っています。足を四方にふんばっていっかな動こうとしません。そのくせふたりとも帽子はとっくにとられて頭は陽にさらされているのです。ふたりは次郎くんと森川くんです。  先生がゆっくり近よってこられました。 「お前らは何をやっているのか...
紅白の波はどのように進んできてぶつかりますか。
紅白の波は向きあって進んできてぶつかります。
JCRRAG_010949
国語
つぎは体操の時間です。  紅白の帽子の列が東と西に向きあってならんでいます。先生がまん中で笛をふきました。わあっとかん声があがります。紅白の波は向きあって進んできてぶつかります。それからはいりみだれて帽子のとりっくらです。勝負なかばでふたたび笛が鳴ります。すると帽子をとられた者も、まだとられない者もさあっと東西にひきあげていきます。  ところが真中にふたりの少年がお互いに相手の腕をつかんだままにらみあって立っています。足を四方にふんばっていっかな動こうとしません。そのくせふたりとも帽子はとっくにとられて頭は陽にさらされているのです。ふたりは次郎くんと森川くんです。  先生がゆっくり近よってこられました。 「お前らは何をやっているのか...
ふたりの少年はどのように動こうとしませんか。
ふたりの少年は足を四方にふんばっていっかな動こうとしません。
JCRRAG_010950
国語
つぎは体操の時間です。  紅白の帽子の列が東と西に向きあってならんでいます。先生がまん中で笛をふきました。わあっとかん声があがります。紅白の波は向きあって進んできてぶつかります。それからはいりみだれて帽子のとりっくらです。勝負なかばでふたたび笛が鳴ります。すると帽子をとられた者も、まだとられない者もさあっと東西にひきあげていきます。  ところが真中にふたりの少年がお互いに相手の腕をつかんだままにらみあって立っています。足を四方にふんばっていっかな動こうとしません。そのくせふたりとも帽子はとっくにとられて頭は陽にさらされているのです。ふたりは次郎くんと森川くんです。  先生がゆっくり近よってこられました。 「お前らは何をやっているのか...
コースは学校の外側をどのように二周しますか。
コースは学校の外側をぐるぐると二周します。
JCRRAG_010951
国語
つぎは体操の時間です。  紅白の帽子の列が東と西に向きあってならんでいます。先生がまん中で笛をふきました。わあっとかん声があがります。紅白の波は向きあって進んできてぶつかります。それからはいりみだれて帽子のとりっくらです。勝負なかばでふたたび笛が鳴ります。すると帽子をとられた者も、まだとられない者もさあっと東西にひきあげていきます。  ところが真中にふたりの少年がお互いに相手の腕をつかんだままにらみあって立っています。足を四方にふんばっていっかな動こうとしません。そのくせふたりとも帽子はとっくにとられて頭は陽にさらされているのです。ふたりは次郎くんと森川くんです。  先生がゆっくり近よってこられました。 「お前らは何をやっているのか...
ふたりは相手をはなしてどこに帰っていきましたか。
ふたりは相手をはなして自分自分の列に帰っていきました。
JCRRAG_010952
国語
第二の角を次郎選手と森川選手がほとんど同時にまわりました。するとふたりはもうすっかりとりのこされてしまっていることを知りました。前をいく者はみなもう第三の角をまわってしまっていて、檜葉垣ぞいの静かな道にはとんぼがとんでいるばかりです。  いつもならこのあたりで次郎君が、 「森川君、ゆっくりいけよ。」 と声をかけるのです。すると森川君が、 「よしきた、と」 と応じて、ふたりは妥協するのです。そして歩調をゆるめることになっていました。しんがりになるにはひとりよりふたりいっしょの方が心づよいからでしょう。  ところが、今日の次郎君はかたく口をむすんでがんばりつづけます。息がきれて、血をはいてたおれようと、森川君なんかには口をきかないぞとい...
第二の角を誰がほとんど同時にまわりましたか。
第二の角を次郎選手と森川選手がほとんど同時にまわりました。
JCRRAG_010953
国語
第二の角を次郎選手と森川選手がほとんど同時にまわりました。するとふたりはもうすっかりとりのこされてしまっていることを知りました。前をいく者はみなもう第三の角をまわってしまっていて、檜葉垣ぞいの静かな道にはとんぼがとんでいるばかりです。  いつもならこのあたりで次郎君が、 「森川君、ゆっくりいけよ。」 と声をかけるのです。すると森川君が、 「よしきた、と」 と応じて、ふたりは妥協するのです。そして歩調をゆるめることになっていました。しんがりになるにはひとりよりふたりいっしょの方が心づよいからでしょう。  ところが、今日の次郎君はかたく口をむすんでがんばりつづけます。息がきれて、血をはいてたおれようと、森川君なんかには口をきかないぞとい...
前をいく者はみなもうどこをまわってしまっていましたか。
前をいく者はみなもう第三の角をまわってしまっていました。
JCRRAG_010954
国語
第二の角を次郎選手と森川選手がほとんど同時にまわりました。するとふたりはもうすっかりとりのこされてしまっていることを知りました。前をいく者はみなもう第三の角をまわってしまっていて、檜葉垣ぞいの静かな道にはとんぼがとんでいるばかりです。  いつもならこのあたりで次郎君が、 「森川君、ゆっくりいけよ。」 と声をかけるのです。すると森川君が、 「よしきた、と」 と応じて、ふたりは妥協するのです。そして歩調をゆるめることになっていました。しんがりになるにはひとりよりふたりいっしょの方が心づよいからでしょう。  ところが、今日の次郎君はかたく口をむすんでがんばりつづけます。息がきれて、血をはいてたおれようと、森川君なんかには口をきかないぞとい...
次郎君はどのような決心のようですか。
次郎君は息がきれて、血をはいてたおれようと、森川君なんかには口をきかないぞといった決心のようです。
JCRRAG_010955
国語
第二の角を次郎選手と森川選手がほとんど同時にまわりました。するとふたりはもうすっかりとりのこされてしまっていることを知りました。前をいく者はみなもう第三の角をまわってしまっていて、檜葉垣ぞいの静かな道にはとんぼがとんでいるばかりです。  いつもならこのあたりで次郎君が、 「森川君、ゆっくりいけよ。」 と声をかけるのです。すると森川君が、 「よしきた、と」 と応じて、ふたりは妥協するのです。そして歩調をゆるめることになっていました。しんがりになるにはひとりよりふたりいっしょの方が心づよいからでしょう。  ところが、今日の次郎君はかたく口をむすんでがんばりつづけます。息がきれて、血をはいてたおれようと、森川君なんかには口をきかないぞとい...
森川君は次郎君が歩みはじめるとどのようにしましたか。
森川君は次郎君が歩みはじめるとすぐはりあいがなくなったように走るのをやめてしまいました。
JCRRAG_010956
国語
第二の角を次郎選手と森川選手がほとんど同時にまわりました。するとふたりはもうすっかりとりのこされてしまっていることを知りました。前をいく者はみなもう第三の角をまわってしまっていて、檜葉垣ぞいの静かな道にはとんぼがとんでいるばかりです。  いつもならこのあたりで次郎君が、 「森川君、ゆっくりいけよ。」 と声をかけるのです。すると森川君が、 「よしきた、と」 と応じて、ふたりは妥協するのです。そして歩調をゆるめることになっていました。しんがりになるにはひとりよりふたりいっしょの方が心づよいからでしょう。  ところが、今日の次郎君はかたく口をむすんでがんばりつづけます。息がきれて、血をはいてたおれようと、森川君なんかには口をきかないぞとい...
次郎君は議論していた日にはどのように思って口をつぐみましたか。
次郎君は議論していた日には自分が負けだと思って口をつぐんでしまいました。
JCRRAG_010957
国語
次郎君は家へはいるやいなや、 「西ごうたかもりは?」 とさけびました。  帳場でそろばんをはじいていたお母さんが顔をあげて、 「まあなんだい、この子は、ただいまもいわないで。」 「西ごうたかもりはどこにいるかってきいてるんだよう。」  次郎君は血相をかえています。 「何いってんだよう、お母さんは犬の番じゃないよ。」  次郎君はかばんをお母さんの横へどしんと投げ出しておいて帽子もとらないでうら口へいき、 「西ごうたかもり、西ごうたかもり!」 と癇高い声でさけびました。  西ごうたかもりはその声に応じて板塀の下をくぐり、紫苑をかきわけて姿をあらわしました。 「こい!」 とよぶと、ころがるようにかけよってきて次郎君の周囲を眼がまわるほどせ...
西ごうたかもりはどのように姿をあらわしましたか。
西ごうたかもりは声に応じて板塀の下をくぐり、紫苑をかきわけて姿をあらわしました。
JCRRAG_010958
国語
次郎君は家へはいるやいなや、 「西ごうたかもりは?」 とさけびました。  帳場でそろばんをはじいていたお母さんが顔をあげて、 「まあなんだい、この子は、ただいまもいわないで。」 「西ごうたかもりはどこにいるかってきいてるんだよう。」  次郎君は血相をかえています。 「何いってんだよう、お母さんは犬の番じゃないよ。」  次郎君はかばんをお母さんの横へどしんと投げ出しておいて帽子もとらないでうら口へいき、 「西ごうたかもり、西ごうたかもり!」 と癇高い声でさけびました。  西ごうたかもりはその声に応じて板塀の下をくぐり、紫苑をかきわけて姿をあらわしました。 「こい!」 とよぶと、ころがるようにかけよってきて次郎君の周囲を眼がまわるほどせ...
次郎君は呼吸のはげしい西郷隆盛の顔と何をすりあわせましたか。
次郎君は呼吸のはげしい西郷隆盛の顔と自分の顔をすりあわせました。
JCRRAG_010959
国語
次郎君は家へはいるやいなや、 「西ごうたかもりは?」 とさけびました。  帳場でそろばんをはじいていたお母さんが顔をあげて、 「まあなんだい、この子は、ただいまもいわないで。」 「西ごうたかもりはどこにいるかってきいてるんだよう。」  次郎君は血相をかえています。 「何いってんだよう、お母さんは犬の番じゃないよ。」  次郎君はかばんをお母さんの横へどしんと投げ出しておいて帽子もとらないでうら口へいき、 「西ごうたかもり、西ごうたかもり!」 と癇高い声でさけびました。  西ごうたかもりはその声に応じて板塀の下をくぐり、紫苑をかきわけて姿をあらわしました。 「こい!」 とよぶと、ころがるようにかけよってきて次郎君の周囲を眼がまわるほどせ...
次郎君は戦いの前に何をあたえることが必要だと考えていますか。
次郎君は戦いの前に適当の休息をあたえることが必要だと考えています。
JCRRAG_010960
国語
次郎君は家へはいるやいなや、 「西ごうたかもりは?」 とさけびました。  帳場でそろばんをはじいていたお母さんが顔をあげて、 「まあなんだい、この子は、ただいまもいわないで。」 「西ごうたかもりはどこにいるかってきいてるんだよう。」  次郎君は血相をかえています。 「何いってんだよう、お母さんは犬の番じゃないよ。」  次郎君はかばんをお母さんの横へどしんと投げ出しておいて帽子もとらないでうら口へいき、 「西ごうたかもり、西ごうたかもり!」 と癇高い声でさけびました。  西ごうたかもりはその声に応じて板塀の下をくぐり、紫苑をかきわけて姿をあらわしました。 「こい!」 とよぶと、ころがるようにかけよってきて次郎君の周囲を眼がまわるほどせ...
西ごうたかもりはどのように次郎君の周囲をまわりますか。
西ごうたかもりは、ころがるようにかけよってきて次郎君の周囲を眼がまわるほどせわしくくるいまわります。
JCRRAG_010961
国語
森川君が十メートルほど先まできたとき、西郷隆盛はシェパードをみつけてむっくり体を起こしました。次郎君は手をはなしました。西郷隆盛は猛然と向かってゆきました。  森川君もそのとき体をわきによけてシェパードに道をあけてやりました。いよいよ犬同士の決闘です。森川君も次郎君も、口に出してはなんともいいません。しかし心の中ではお互いに自分の犬に向かって「おし、おし」と勢いをつけています。次郎君はいつのまにかすすきの穂をひきぬいて人さし指にかたくまきつけていました。  西郷隆盛はシェパードと二メートルほどへだたったところまでいくとぴたっととまって、シェパードとにらみあっていました。――と次郎君と森川君は思えたのですが、じつはにらみあったのではあ...
西郷隆盛はどのように向かってゆきましたか。
西郷隆盛は猛然と向かってゆきました。
JCRRAG_010962
国語
森川君が十メートルほど先まできたとき、西郷隆盛はシェパードをみつけてむっくり体を起こしました。次郎君は手をはなしました。西郷隆盛は猛然と向かってゆきました。  森川君もそのとき体をわきによけてシェパードに道をあけてやりました。いよいよ犬同士の決闘です。森川君も次郎君も、口に出してはなんともいいません。しかし心の中ではお互いに自分の犬に向かって「おし、おし」と勢いをつけています。次郎君はいつのまにかすすきの穂をひきぬいて人さし指にかたくまきつけていました。  西郷隆盛はシェパードと二メートルほどへだたったところまでいくとぴたっととまって、シェパードとにらみあっていました。――と次郎君と森川君は思えたのですが、じつはにらみあったのではあ...
森川君はどのようにしてシェパードに道をあけてやりましたか。
森川君は体をわきによけてシェパードに道をあけてやりました。
JCRRAG_010963
国語
森川君が十メートルほど先まできたとき、西郷隆盛はシェパードをみつけてむっくり体を起こしました。次郎君は手をはなしました。西郷隆盛は猛然と向かってゆきました。  森川君もそのとき体をわきによけてシェパードに道をあけてやりました。いよいよ犬同士の決闘です。森川君も次郎君も、口に出してはなんともいいません。しかし心の中ではお互いに自分の犬に向かって「おし、おし」と勢いをつけています。次郎君はいつのまにかすすきの穂をひきぬいて人さし指にかたくまきつけていました。  西郷隆盛はシェパードと二メートルほどへだたったところまでいくとぴたっととまって、シェパードとにらみあっていました。――と次郎君と森川君は思えたのですが、じつはにらみあったのではあ...
次郎君は人さし指に何をまきつけていましたか。
次郎君はいつのまにかすすきの穂をひきぬいて人さし指にかたくまきつけていました。
JCRRAG_010964
国語
森川君が十メートルほど先まできたとき、西郷隆盛はシェパードをみつけてむっくり体を起こしました。次郎君は手をはなしました。西郷隆盛は猛然と向かってゆきました。  森川君もそのとき体をわきによけてシェパードに道をあけてやりました。いよいよ犬同士の決闘です。森川君も次郎君も、口に出してはなんともいいません。しかし心の中ではお互いに自分の犬に向かって「おし、おし」と勢いをつけています。次郎君はいつのまにかすすきの穂をひきぬいて人さし指にかたくまきつけていました。  西郷隆盛はシェパードと二メートルほどへだたったところまでいくとぴたっととまって、シェパードとにらみあっていました。――と次郎君と森川君は思えたのですが、じつはにらみあったのではあ...
森川君が十メートルほど先まできたとき、西郷隆盛は何をみつけてむっくり体を起こしましたか。
森川君が十メートルほど先まできたとき、西郷隆盛はシェパードをみつけてむっくり体を起こしました。
JCRRAG_010965
国語
森川君が十メートルほど先まできたとき、西郷隆盛はシェパードをみつけてむっくり体を起こしました。次郎君は手をはなしました。西郷隆盛は猛然と向かってゆきました。  森川君もそのとき体をわきによけてシェパードに道をあけてやりました。いよいよ犬同士の決闘です。森川君も次郎君も、口に出してはなんともいいません。しかし心の中ではお互いに自分の犬に向かって「おし、おし」と勢いをつけています。次郎君はいつのまにかすすきの穂をひきぬいて人さし指にかたくまきつけていました。  西郷隆盛はシェパードと二メートルほどへだたったところまでいくとぴたっととまって、シェパードとにらみあっていました。――と次郎君と森川君は思えたのですが、じつはにらみあったのではあ...
ふたりは何を憶い出しましたか。
ふたりはつねづね自分たちがなかよしで、長距離競走のときにはいつもそろってしんがりをすることなどを憶い出しました。
JCRRAG_010966
国語
むかし、花のき村に、五人組の盗人がやって来ました。  それは、若竹が、あちこちの空に、かぼそく、ういういしい緑色の芽をのばしている初夏のひるで、松林では松蝉が、ジイジイジイイと鳴いていました。  盗人たちは、北から川に沿ってやって来ました。花のき村の入り口のあたりは、すかんぽやうまごやしの生えた緑の野原で、子供や牛が遊んでおりました。これだけを見ても、この村が平和な村であることが、盗人たちにはわかりました。そして、こんな村には、お金やいい着物を持った家があるに違いないと、もう喜んだのでありました。  川は藪の下を流れ、そこにかかっている一つの水車をゴトンゴトンとまわして、村の奥深くはいっていきました。  藪のところまで来ると、盗人の...
盗人たちはどこから川に沿ってやって来ましたか。
盗人たちは、北から川に沿ってやって来ました。
JCRRAG_010967
国語
むかし、花のき村に、五人組の盗人がやって来ました。  それは、若竹が、あちこちの空に、かぼそく、ういういしい緑色の芽をのばしている初夏のひるで、松林では松蝉が、ジイジイジイイと鳴いていました。  盗人たちは、北から川に沿ってやって来ました。花のき村の入り口のあたりは、すかんぽやうまごやしの生えた緑の野原で、子供や牛が遊んでおりました。これだけを見ても、この村が平和な村であることが、盗人たちにはわかりました。そして、こんな村には、お金やいい着物を持った家があるに違いないと、もう喜んだのでありました。  川は藪の下を流れ、そこにかかっている一つの水車をゴトンゴトンとまわして、村の奥深くはいっていきました。  藪のところまで来ると、盗人の...
花のき村の入り口のあたりはどのような場所でしたか。
花のき村の入り口のあたりは、すかんぽやうまごやしの生えた緑の野原で、子供や牛が遊んでおりました。
JCRRAG_010968
国語
むかし、花のき村に、五人組の盗人がやって来ました。  それは、若竹が、あちこちの空に、かぼそく、ういういしい緑色の芽をのばしている初夏のひるで、松林では松蝉が、ジイジイジイイと鳴いていました。  盗人たちは、北から川に沿ってやって来ました。花のき村の入り口のあたりは、すかんぽやうまごやしの生えた緑の野原で、子供や牛が遊んでおりました。これだけを見ても、この村が平和な村であることが、盗人たちにはわかりました。そして、こんな村には、お金やいい着物を持った家があるに違いないと、もう喜んだのでありました。  川は藪の下を流れ、そこにかかっている一つの水車をゴトンゴトンとまわして、村の奥深くはいっていきました。  藪のところまで来ると、盗人の...
かしらは弟子どもがいってしまうと何をしていましたか。
かしらは弟子どもがいってしまうと、どっかと川ばたの草の上に腰をおろし、弟子どもに話したとおり、たばこをスッパ、スッパとすいながら、盗人のような顔つきをしていました。
JCRRAG_010969
国語
むかし、花のき村に、五人組の盗人がやって来ました。  それは、若竹が、あちこちの空に、かぼそく、ういういしい緑色の芽をのばしている初夏のひるで、松林では松蝉が、ジイジイジイイと鳴いていました。  盗人たちは、北から川に沿ってやって来ました。花のき村の入り口のあたりは、すかんぽやうまごやしの生えた緑の野原で、子供や牛が遊んでおりました。これだけを見ても、この村が平和な村であることが、盗人たちにはわかりました。そして、こんな村には、お金やいい着物を持った家があるに違いないと、もう喜んだのでありました。  川は藪の下を流れ、そこにかかっている一つの水車をゴトンゴトンとまわして、村の奥深くはいっていきました。  藪のところまで来ると、盗人の...
川はどこを流れて村の奥深くへはいっていきましたか。
川は藪の下を流れ、そこにかかっている一つの水車をゴトンゴトンとまわして、村の奥深くはいっていきました。
JCRRAG_010970
国語
むかし、花のき村に、五人組の盗人がやって来ました。  それは、若竹が、あちこちの空に、かぼそく、ういういしい緑色の芽をのばしている初夏のひるで、松林では松蝉が、ジイジイジイイと鳴いていました。  盗人たちは、北から川に沿ってやって来ました。花のき村の入り口のあたりは、すかんぽやうまごやしの生えた緑の野原で、子供や牛が遊んでおりました。これだけを見ても、この村が平和な村であることが、盗人たちにはわかりました。そして、こんな村には、お金やいい着物を持った家があるに違いないと、もう喜んだのでありました。  川は藪の下を流れ、そこにかかっている一つの水車をゴトンゴトンとまわして、村の奥深くはいっていきました。  藪のところまで来ると、盗人の...
盗人の弟子たちはどのようにして花のき村にはいりこんでいきましたか。
盗人の弟子たちは、釜右ヱ門は釜師のふりをし、海老之丞は錠前屋のふりをし、角兵ヱは獅子まいのように笛をヒャラヒャラ鳴らし、鉋太郎は大工のふりをして、花のき村にはいりこんでいきました。
JCRRAG_010971
国語
「どうだ、村の中の様子は。」 とかしらがききました。 「へえ、すばらしいですよ、かしら。ありました、ありました。」 「何が。」 「大きい家がありましてね、そこの飯炊き釜は、まず三斗ぐらいは炊ける大釜でした。あれはえらい銭になります。それから、お寺に吊ってあった鐘も、なかなか大きなもので、あれをつぶせば、まず茶釜が五十はできます。なあに、あっしの眼に狂いはありません。嘘だと思うなら、あっしが造って見せましょう。」 「馬鹿馬鹿しいことに威張るのはやめろ。」 とかしらは弟子を叱りつけました。 「きさまは、まだ釜師根性がぬけんからだめだ。そんな飯炊き釜や吊り鐘などばかり見てくるやつがあるか。それに何だ、その手に持っている、穴のあいた鍋は。」...
釜右ヱ門はどのようにしてまた村にはいっていきましたか。
釜右ヱ門は、穴のあいた鍋をぶらんぶらんとふりながら、また村にはいっていきました。
JCRRAG_010972
国語
「どうだ、村の中の様子は。」 とかしらがききました。 「へえ、すばらしいですよ、かしら。ありました、ありました。」 「何が。」 「大きい家がありましてね、そこの飯炊き釜は、まず三斗ぐらいは炊ける大釜でした。あれはえらい銭になります。それから、お寺に吊ってあった鐘も、なかなか大きなもので、あれをつぶせば、まず茶釜が五十はできます。なあに、あっしの眼に狂いはありません。嘘だと思うなら、あっしが造って見せましょう。」 「馬鹿馬鹿しいことに威張るのはやめろ。」 とかしらは弟子を叱りつけました。 「きさまは、まだ釜師根性がぬけんからだめだ。そんな飯炊き釜や吊り鐘などばかり見てくるやつがあるか。それに何だ、その手に持っている、穴のあいた鍋は。」...
海老之丞は、何をしながらまた村に入っていきましたか。
海老之丞は、感心しながら、また村にはいっていきました
JCRRAG_010973
国語
「どうだ、村の中の様子は。」 とかしらがききました。 「へえ、すばらしいですよ、かしら。ありました、ありました。」 「何が。」 「大きい家がありましてね、そこの飯炊き釜は、まず三斗ぐらいは炊ける大釜でした。あれはえらい銭になります。それから、お寺に吊ってあった鐘も、なかなか大きなもので、あれをつぶせば、まず茶釜が五十はできます。なあに、あっしの眼に狂いはありません。嘘だと思うなら、あっしが造って見せましょう。」 「馬鹿馬鹿しいことに威張るのはやめろ。」 とかしらは弟子を叱りつけました。 「きさまは、まだ釜師根性がぬけんからだめだ。そんな飯炊き釜や吊り鐘などばかり見てくるやつがあるか。それに何だ、その手に持っている、穴のあいた鍋は。」...
飯炊き釜は、どのくらいの大きさの釜でしたか。
飯炊き釜は、まず三斗ぐらいは炊ける大釜でした。
JCRRAG_010974
国語
「どうだ、村の中の様子は。」 とかしらがききました。 「へえ、すばらしいですよ、かしら。ありました、ありました。」 「何が。」 「大きい家がありましてね、そこの飯炊き釜は、まず三斗ぐらいは炊ける大釜でした。あれはえらい銭になります。それから、お寺に吊ってあった鐘も、なかなか大きなもので、あれをつぶせば、まず茶釜が五十はできます。なあに、あっしの眼に狂いはありません。嘘だと思うなら、あっしが造って見せましょう。」 「馬鹿馬鹿しいことに威張るのはやめろ。」 とかしらは弟子を叱りつけました。 「きさまは、まだ釜師根性がぬけんからだめだ。そんな飯炊き釜や吊り鐘などばかり見てくるやつがあるか。それに何だ、その手に持っている、穴のあいた鍋は。」...
お寺に吊ってあった鐘は、どのようなものでしたか。
お寺に吊ってあった鐘は、なかなか大きなものでした。
JCRRAG_010975
国語
「どうだ、村の中の様子は。」 とかしらがききました。 「へえ、すばらしいですよ、かしら。ありました、ありました。」 「何が。」 「大きい家がありましてね、そこの飯炊き釜は、まず三斗ぐらいは炊ける大釜でした。あれはえらい銭になります。それから、お寺に吊ってあった鐘も、なかなか大きなもので、あれをつぶせば、まず茶釜が五十はできます。なあに、あっしの眼に狂いはありません。嘘だと思うなら、あっしが造って見せましょう。」 「馬鹿馬鹿しいことに威張るのはやめろ。」 とかしらは弟子を叱りつけました。 「きさまは、まだ釜師根性がぬけんからだめだ。そんな飯炊き釜や吊り鐘などばかり見てくるやつがあるか。それに何だ、その手に持っている、穴のあいた鍋は。」...
角兵ヱは、何をしながら来ましたか。
角兵ヱは、笛を吹きながら来ました。
JCRRAG_010976
国語
次にかえって来たのは、少年の角兵ヱでありました。角兵ヱは、笛を吹きながら来たので、まだ藪の向こうで姿の見えないうちから、わかりました。 「いつまで、ヒャラヒャラと鳴らしておるのか。盗人はなるべく音をたてぬようにしておるものだ。」 とかしらは叱りました。角兵ヱは吹くのをやめました。 「それで、きさまは何を見て来たのか。」 「川についてどんどん行きましたら、花菖蒲を庭いちめんに咲かせた小さい家がありました。」 「うん、それから?」 「その家の軒下に、頭の毛も眉毛もあごひげもまっしろな爺さんがいました。」 「うん、その爺さんが、小判のはいった壺でも縁の下に隠していそうな様子だったか。」 「そのお爺さんが竹笛を吹いておりました。ちょっとした...
次にかえって来たのは、誰でしたか。
次にかえって来たのは、少年の角兵ヱでした。
JCRRAG_010977
国語
次にかえって来たのは、少年の角兵ヱでありました。角兵ヱは、笛を吹きながら来たので、まだ藪の向こうで姿の見えないうちから、わかりました。 「いつまで、ヒャラヒャラと鳴らしておるのか。盗人はなるべく音をたてぬようにしておるものだ。」 とかしらは叱りました。角兵ヱは吹くのをやめました。 「それで、きさまは何を見て来たのか。」 「川についてどんどん行きましたら、花菖蒲を庭いちめんに咲かせた小さい家がありました。」 「うん、それから?」 「その家の軒下に、頭の毛も眉毛もあごひげもまっしろな爺さんがいました。」 「うん、その爺さんが、小判のはいった壺でも縁の下に隠していそうな様子だったか。」 「そのお爺さんが竹笛を吹いておりました。ちょっとした...
なぜ角兵ヱが来ることが、まだ藪の向こうで姿の見えないうちから、わかったのですか。
角兵ヱは、笛を吹きながら来たので、まだ藪の向こうで姿の見えないうちから、わかりました。
JCRRAG_010978
国語
次にかえって来たのは、少年の角兵ヱでありました。角兵ヱは、笛を吹きながら来たので、まだ藪の向こうで姿の見えないうちから、わかりました。 「いつまで、ヒャラヒャラと鳴らしておるのか。盗人はなるべく音をたてぬようにしておるものだ。」 とかしらは叱りました。角兵ヱは吹くのをやめました。 「それで、きさまは何を見て来たのか。」 「川についてどんどん行きましたら、花菖蒲を庭いちめんに咲かせた小さい家がありました。」 「うん、それから?」 「その家の軒下に、頭の毛も眉毛もあごひげもまっしろな爺さんがいました。」 「うん、その爺さんが、小判のはいった壺でも縁の下に隠していそうな様子だったか。」 「そのお爺さんが竹笛を吹いておりました。ちょっとした...
角兵ヱは叱られて、笛をどこにおき、また村にはいっていきましたか。
角兵ヱは叱られて、笛を草の中へおき、また村にはいっていきました。
JCRRAG_010979
国語
次にかえって来たのは、少年の角兵ヱでありました。角兵ヱは、笛を吹きながら来たので、まだ藪の向こうで姿の見えないうちから、わかりました。 「いつまで、ヒャラヒャラと鳴らしておるのか。盗人はなるべく音をたてぬようにしておるものだ。」 とかしらは叱りました。角兵ヱは吹くのをやめました。 「それで、きさまは何を見て来たのか。」 「川についてどんどん行きましたら、花菖蒲を庭いちめんに咲かせた小さい家がありました。」 「うん、それから?」 「その家の軒下に、頭の毛も眉毛もあごひげもまっしろな爺さんがいました。」 「うん、その爺さんが、小判のはいった壺でも縁の下に隠していそうな様子だったか。」 「そのお爺さんが竹笛を吹いておりました。ちょっとした...
おしまいに帰って来たのは誰でしたか。
おしまいに帰って来たのは鉋太郎でした。
JCRRAG_010980
国語
次にかえって来たのは、少年の角兵ヱでありました。角兵ヱは、笛を吹きながら来たので、まだ藪の向こうで姿の見えないうちから、わかりました。 「いつまで、ヒャラヒャラと鳴らしておるのか。盗人はなるべく音をたてぬようにしておるものだ。」 とかしらは叱りました。角兵ヱは吹くのをやめました。 「それで、きさまは何を見て来たのか。」 「川についてどんどん行きましたら、花菖蒲を庭いちめんに咲かせた小さい家がありました。」 「うん、それから?」 「その家の軒下に、頭の毛も眉毛もあごひげもまっしろな爺さんがいました。」 「うん、その爺さんが、小判のはいった壺でも縁の下に隠していそうな様子だったか。」 「そのお爺さんが竹笛を吹いておりました。ちょっとした...
鉋太郎はどのような顔をしてうつむいてしまいましたか。
鉋太郎はバツのわるい顔をしてうつむいてしまいました。
JCRRAG_010981
国語
とつぜん、 「ぬすとだッ。」 「ぬすとだッ。」 「そら、やっちまえッ。」 という、おおぜいの子供の声がしました。子供の声でも、こういうことを聞いては、盗人としてびっくりしないわけにはいかないので、かしらはひょこんと跳びあがりました。そして、川にとびこんで向こう岸へ逃げようか、藪の中にもぐりこんで、姿をくらまそうか、と、とっさのあいだに考えたのであります。  しかし子供達は、縄切れや、おもちゃの十手をふりまわしながら、あちらへ走っていきました。子供達は盗人ごっこをしていたのでした。 「なんだ、子供達の遊びごとか。」 とかしらは張り合いがぬけていいました。 「遊びごとにしても、盗人ごっことはよくない遊びだ。いまどきの子供はろくなことをし...
かしらは、とっさのあいだにどのように考えましたか。
かしらは、川にとびこんで向こう岸へ逃げようか、藪の中にもぐりこんで、姿をくらまそうか、と、とっさのあいだに考えました。
JCRRAG_010982
国語
とつぜん、 「ぬすとだッ。」 「ぬすとだッ。」 「そら、やっちまえッ。」 という、おおぜいの子供の声がしました。子供の声でも、こういうことを聞いては、盗人としてびっくりしないわけにはいかないので、かしらはひょこんと跳びあがりました。そして、川にとびこんで向こう岸へ逃げようか、藪の中にもぐりこんで、姿をくらまそうか、と、とっさのあいだに考えたのであります。  しかし子供達は、縄切れや、おもちゃの十手をふりまわしながら、あちらへ走っていきました。子供達は盗人ごっこをしていたのでした。 「なんだ、子供達の遊びごとか。」 とかしらは張り合いがぬけていいました。 「遊びごとにしても、盗人ごっことはよくない遊びだ。いまどきの子供はろくなことをし...
子供たちは何をふりまわしながら盗人ごっこをしていたのでしたか。
子供達は、縄切れや、おもちゃの十手をふりまわしながら、あちらへ走っていきました。
JCRRAG_010983
国語
とつぜん、 「ぬすとだッ。」 「ぬすとだッ。」 「そら、やっちまえッ。」 という、おおぜいの子供の声がしました。子供の声でも、こういうことを聞いては、盗人としてびっくりしないわけにはいかないので、かしらはひょこんと跳びあがりました。そして、川にとびこんで向こう岸へ逃げようか、藪の中にもぐりこんで、姿をくらまそうか、と、とっさのあいだに考えたのであります。  しかし子供達は、縄切れや、おもちゃの十手をふりまわしながら、あちらへ走っていきました。子供達は盗人ごっこをしていたのでした。 「なんだ、子供達の遊びごとか。」 とかしらは張り合いがぬけていいました。 「遊びごとにしても、盗人ごっことはよくない遊びだ。いまどきの子供はろくなことをし...
ふりかえって見ると、誰が牛の仔をつれて立っていました。
ふりかえって見ると、七歳くらいの、かわいらしい男の子が牛の仔をつれて立っていました。
JCRRAG_010984
国語
とつぜん、 「ぬすとだッ。」 「ぬすとだッ。」 「そら、やっちまえッ。」 という、おおぜいの子供の声がしました。子供の声でも、こういうことを聞いては、盗人としてびっくりしないわけにはいかないので、かしらはひょこんと跳びあがりました。そして、川にとびこんで向こう岸へ逃げようか、藪の中にもぐりこんで、姿をくらまそうか、と、とっさのあいだに考えたのであります。  しかし子供達は、縄切れや、おもちゃの十手をふりまわしながら、あちらへ走っていきました。子供達は盗人ごっこをしていたのでした。 「なんだ、子供達の遊びごとか。」 とかしらは張り合いがぬけていいました。 「遊びごとにしても、盗人ごっことはよくない遊びだ。いまどきの子供はろくなことをし...
子供は何をかしらにあずけましたか。
子供は赤い手綱をかしらの手にあずけました。
JCRRAG_010985
国語
とつぜん、 「ぬすとだッ。」 「ぬすとだッ。」 「そら、やっちまえッ。」 という、おおぜいの子供の声がしました。子供の声でも、こういうことを聞いては、盗人としてびっくりしないわけにはいかないので、かしらはひょこんと跳びあがりました。そして、川にとびこんで向こう岸へ逃げようか、藪の中にもぐりこんで、姿をくらまそうか、と、とっさのあいだに考えたのであります。  しかし子供達は、縄切れや、おもちゃの十手をふりまわしながら、あちらへ走っていきました。子供達は盗人ごっこをしていたのでした。 「なんだ、子供達の遊びごとか。」 とかしらは張り合いがぬけていいました。 「遊びごとにしても、盗人ごっことはよくない遊びだ。いまどきの子供はろくなことをし...
かしらは、くッくッと笑いながら何を見ましたか。
かしらは、くッくッと笑いながら牛の仔を見ました。
JCRRAG_010986
国語
「これで弟子たちに自慢ができるて。きさまたちが馬鹿づらさげて、村の中をあるいているあいだに、わしはもう牛の仔をいっぴき盗んだ、といって。」  そしてまた、くッくッくッと笑いました。あんまり笑ったので、こんどは涙が出て来ました。 「ああ、おかしい。あんまり笑ったんで涙が出て来やがった。」  ところが、その涙が、流れて流れてとまらないのでありました。 「いや、はや、これはどうしたことだい、わしが涙を流すなんて、これじゃ、まるで泣いてるのと同じじゃないか。」  そうです。ほんとうに、盗人のかしらは泣いていたのであります。――かしらは嬉しかったのです。じぶんは今まで、人から冷たい眼でばかり見られて来ました。じぶんが通ると、人々はそら変なやつ...
かしらは、仔牛の何をなでていましたか。
かしらは、仔牛のぶちの背中をなでていました。
JCRRAG_010987
国語
「これで弟子たちに自慢ができるて。きさまたちが馬鹿づらさげて、村の中をあるいているあいだに、わしはもう牛の仔をいっぴき盗んだ、といって。」  そしてまた、くッくッくッと笑いました。あんまり笑ったので、こんどは涙が出て来ました。 「ああ、おかしい。あんまり笑ったんで涙が出て来やがった。」  ところが、その涙が、流れて流れてとまらないのでありました。 「いや、はや、これはどうしたことだい、わしが涙を流すなんて、これじゃ、まるで泣いてるのと同じじゃないか。」  そうです。ほんとうに、盗人のかしらは泣いていたのであります。――かしらは嬉しかったのです。じぶんは今まで、人から冷たい眼でばかり見られて来ました。じぶんが通ると、人々はそら変なやつ...
村から何が流れ出して野の上にひろがっていきましたか。
村からは白い夕もやがひっそりと流れだして、野の上にひろがっていきました。
JCRRAG_010988
国語
「これで弟子たちに自慢ができるて。きさまたちが馬鹿づらさげて、村の中をあるいているあいだに、わしはもう牛の仔をいっぴき盗んだ、といって。」  そしてまた、くッくッくッと笑いました。あんまり笑ったので、こんどは涙が出て来ました。 「ああ、おかしい。あんまり笑ったんで涙が出て来やがった。」  ところが、その涙が、流れて流れてとまらないのでありました。 「いや、はや、これはどうしたことだい、わしが涙を流すなんて、これじゃ、まるで泣いてるのと同じじゃないか。」  そうです。ほんとうに、盗人のかしらは泣いていたのであります。――かしらは嬉しかったのです。じぶんは今まで、人から冷たい眼でばかり見られて来ました。じぶんが通ると、人々はそら変なやつ...
かしらは子供が来たらどのようにしようと考えていましたか。
かしらは子供が来たら、「おいしょ。」と、盗人と思われぬよう、こころよく仔牛をかえしてやろう、と考えていました。
JCRRAG_010989
国語
「これで弟子たちに自慢ができるて。きさまたちが馬鹿づらさげて、村の中をあるいているあいだに、わしはもう牛の仔をいっぴき盗んだ、といって。」  そしてまた、くッくッくッと笑いました。あんまり笑ったので、こんどは涙が出て来ました。 「ああ、おかしい。あんまり笑ったんで涙が出て来やがった。」  ところが、その涙が、流れて流れてとまらないのでありました。 「いや、はや、これはどうしたことだい、わしが涙を流すなんて、これじゃ、まるで泣いてるのと同じじゃないか。」  そうです。ほんとうに、盗人のかしらは泣いていたのであります。――かしらは嬉しかったのです。じぶんは今まで、人から冷たい眼でばかり見られて来ました。じぶんが通ると、人々はそら変なやつ...
子供たちの声はどこへ消えていってしまいましたか。
子供たちの声は、村の中へ消えていってしまいました。
JCRRAG_010990
国語
「これで弟子たちに自慢ができるて。きさまたちが馬鹿づらさげて、村の中をあるいているあいだに、わしはもう牛の仔をいっぴき盗んだ、といって。」  そしてまた、くッくッくッと笑いました。あんまり笑ったので、こんどは涙が出て来ました。 「ああ、おかしい。あんまり笑ったんで涙が出て来やがった。」  ところが、その涙が、流れて流れてとまらないのでありました。 「いや、はや、これはどうしたことだい、わしが涙を流すなんて、これじゃ、まるで泣いてるのと同じじゃないか。」  そうです。ほんとうに、盗人のかしらは泣いていたのであります。――かしらは嬉しかったのです。じぶんは今まで、人から冷たい眼でばかり見られて来ました。じぶんが通ると、人々はそら変なやつ...
村の上にかかっていた月は、どのようにひかりはじめましたか。
村の上にかかっていた月は、かがみ職人の磨いたばかりの鏡のように、ひかりはじめました。
JCRRAG_010991
国語
「かしら、ただいま戻りました。おや、この仔牛はどうしたのですか。ははア、やっぱりかしらはただの盗人じゃない。おれたちが村を探りにいっていたあいだに、もうひと仕事しちゃったのだね。」  釜右ヱ門が仔牛を見ていいました。かしらは涙にぬれた顔を見られまいとして横をむいたまま、 「うむ、そういってきさまたちに自慢しようと思っていたんだが、じつはそうじゃねえのだ。これにはわけがあるのだ。」 といいました。 「おや、かしら、涙……じゃございませんか。」 と海老之丞が声を落としてききました。 「この、涙てものは、出はじめると出るもんだな。」 といって、かしらは袖で眼をこすりました。 「かしら、喜んで下せえ、こんどこそは、おれたち四人、しっかり盗人...
かしらは涙にぬれた顔を見られまいとして横をむいたまま、何といいましたか。
かしらは涙にぬれた顔を見られまいとして横をむいたまま、 「うむ、そういってきさまたちに自慢しようと思っていたんだが、じつはそうじゃねえのだ。これにはわけがあるのだ。」といいました。
JCRRAG_010992
国語
「かしら、ただいま戻りました。おや、この仔牛はどうしたのですか。ははア、やっぱりかしらはただの盗人じゃない。おれたちが村を探りにいっていたあいだに、もうひと仕事しちゃったのだね。」  釜右ヱ門が仔牛を見ていいました。かしらは涙にぬれた顔を見られまいとして横をむいたまま、 「うむ、そういってきさまたちに自慢しようと思っていたんだが、じつはそうじゃねえのだ。これにはわけがあるのだ。」 といいました。 「おや、かしら、涙……じゃございませんか。」 と海老之丞が声を落としてききました。 「この、涙てものは、出はじめると出るもんだな。」 といって、かしらは袖で眼をこすりました。 「かしら、喜んで下せえ、こんどこそは、おれたち四人、しっかり盗人...
かしらは苦笑いしながら、弟子たちに何をこまかく話してきかせましたか。
かしらは苦笑いしながら、弟子たちにわけをこまかく話してきかせました。
JCRRAG_010993
国語
「かしら、ただいま戻りました。おや、この仔牛はどうしたのですか。ははア、やっぱりかしらはただの盗人じゃない。おれたちが村を探りにいっていたあいだに、もうひと仕事しちゃったのだね。」  釜右ヱ門が仔牛を見ていいました。かしらは涙にぬれた顔を見られまいとして横をむいたまま、 「うむ、そういってきさまたちに自慢しようと思っていたんだが、じつはそうじゃねえのだ。これにはわけがあるのだ。」 といいました。 「おや、かしら、涙……じゃございませんか。」 と海老之丞が声を落としてききました。 「この、涙てものは、出はじめると出るもんだな。」 といって、かしらは袖で眼をこすりました。 「かしら、喜んで下せえ、こんどこそは、おれたち四人、しっかり盗人...
かしらは、仔牛をひきながら何をしましたか。
かしらは、仔牛をひきながら、さがしにいきました。
JCRRAG_010994
国語
「かしら、ただいま戻りました。おや、この仔牛はどうしたのですか。ははア、やっぱりかしらはただの盗人じゃない。おれたちが村を探りにいっていたあいだに、もうひと仕事しちゃったのだね。」  釜右ヱ門が仔牛を見ていいました。かしらは涙にぬれた顔を見られまいとして横をむいたまま、 「うむ、そういってきさまたちに自慢しようと思っていたんだが、じつはそうじゃねえのだ。これにはわけがあるのだ。」 といいました。 「おや、かしら、涙……じゃございませんか。」 と海老之丞が声を落としてききました。 「この、涙てものは、出はじめると出るもんだな。」 といって、かしらは袖で眼をこすりました。 「かしら、喜んで下せえ、こんどこそは、おれたち四人、しっかり盗人...
盗人たちはどのような場所に探してみたのでしたか。
盗人たちは、みみずの鳴いている辻堂の縁の下や柿の木の上や、物置の中や、いい匂いのする蜜柑の木のかげを探してみたのでした。
JCRRAG_010995
国語
「かしら、ただいま戻りました。おや、この仔牛はどうしたのですか。ははア、やっぱりかしらはただの盗人じゃない。おれたちが村を探りにいっていたあいだに、もうひと仕事しちゃったのだね。」  釜右ヱ門が仔牛を見ていいました。かしらは涙にぬれた顔を見られまいとして横をむいたまま、 「うむ、そういってきさまたちに自慢しようと思っていたんだが、じつはそうじゃねえのだ。これにはわけがあるのだ。」 といいました。 「おや、かしら、涙……じゃございませんか。」 と海老之丞が声を落としてききました。 「この、涙てものは、出はじめると出るもんだな。」 といって、かしらは袖で眼をこすりました。 「かしら、喜んで下せえ、こんどこそは、おれたち四人、しっかり盗人...
角兵ヱは角兵ヱでまた、何を五つ見て来ましたか。
角兵ヱは角兵ヱでまた、足駄ばきで跳び越えられる塀を五つ見て来ました。
JCRRAG_010996
国語
たずねて村役人の家へいくと、あらわれたのは、鼻の先に落ちかかるように眼鏡をかけた老人でしたので、盗人たちはまず安心しました。これなら、いざというときに、つきとばして逃げてしまえばいいと思ったからであります。  かしらが、子供のことを話して、 「わしら、その子供を見失って困っております。」 といいました。  老人は五人の顔を見まわして、 「いっこう、このあたりで見受けぬ人ばかりだが、どちらから参った。」 とききました。 「わしら、江戸から西の方へいくものです。」 「まさか盗人ではあるまいの。」 「いや、とんでもない。わしらはみな旅の職人です。釜師や大工や錠前屋などです。」 とかしらはあわてていいました。 「うむ、いや、変なことをいって...
老人は仔牛をあずかっておくことにして、下男にどこへつれていかせましたか。
老人は仔牛をあずかっておくことにして、下男に物置の方へつれていかせました。
JCRRAG_010997
国語
たずねて村役人の家へいくと、あらわれたのは、鼻の先に落ちかかるように眼鏡をかけた老人でしたので、盗人たちはまず安心しました。これなら、いざというときに、つきとばして逃げてしまえばいいと思ったからであります。  かしらが、子供のことを話して、 「わしら、その子供を見失って困っております。」 といいました。  老人は五人の顔を見まわして、 「いっこう、このあたりで見受けぬ人ばかりだが、どちらから参った。」 とききました。 「わしら、江戸から西の方へいくものです。」 「まさか盗人ではあるまいの。」 「いや、とんでもない。わしらはみな旅の職人です。釜師や大工や錠前屋などです。」 とかしらはあわてていいました。 「うむ、いや、変なことをいって...
ひとの善い老人は五人の盗人をどこへつれていきましたか。
ひとの善い老人は、五人の盗人を縁側につれていきました。
JCRRAG_010998
国語
たずねて村役人の家へいくと、あらわれたのは、鼻の先に落ちかかるように眼鏡をかけた老人でしたので、盗人たちはまず安心しました。これなら、いざというときに、つきとばして逃げてしまえばいいと思ったからであります。  かしらが、子供のことを話して、 「わしら、その子供を見失って困っております。」 といいました。  老人は五人の顔を見まわして、 「いっこう、このあたりで見受けぬ人ばかりだが、どちらから参った。」 とききました。 「わしら、江戸から西の方へいくものです。」 「まさか盗人ではあるまいの。」 「いや、とんでもない。わしらはみな旅の職人です。釜師や大工や錠前屋などです。」 とかしらはあわてていいました。 「うむ、いや、変なことをいって...
五人の盗人と一人の村役人はどのように話したのでありましたか。
五人の盗人と一人の村役人はすっかり、くつろいで、十年もまえからの知り合いのように、ゆかいに笑ったり話したりしたのでありました。
JCRRAG_010999
国語
たずねて村役人の家へいくと、あらわれたのは、鼻の先に落ちかかるように眼鏡をかけた老人でしたので、盗人たちはまず安心しました。これなら、いざというときに、つきとばして逃げてしまえばいいと思ったからであります。  かしらが、子供のことを話して、 「わしら、その子供を見失って困っております。」 といいました。  老人は五人の顔を見まわして、 「いっこう、このあたりで見受けぬ人ばかりだが、どちらから参った。」 とききました。 「わしら、江戸から西の方へいくものです。」 「まさか盗人ではあるまいの。」 「いや、とんでもない。わしらはみな旅の職人です。釜師や大工や錠前屋などです。」 とかしらはあわてていいました。 「うむ、いや、変なことをいって...
かしらは門を出て、どこまで来ると、何か思い出したように立ちどまりましたか。
かしらは、門を出て、柿の木のそばまで来ると、何か思い出したように、立ちどまりました。
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小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八つの年だった。良平は毎日村外れへ、その工事を見物に行った。工事をといったところが、唯トロッコで土を運搬するそれが面白さに見に行ったのである。  トロッコの上には土工が二人、土を積んだ後に佇んでいる。トロッコは山を下るのだから、人手を借りずに走って来る。煽るように車台が動いたり、土工の袢天の裾がひらついたり、細い線路がしなったり良平はそんなけしきを眺めながら、土工になりたいと思う事がある。せめては一度でも土工と一しょに、トロッコへ乗りたいと思う事もある。トロッコは村外れの平地へ来ると、自然と其処に止まってしまう。と同時に土工たちは、身軽にトロッコを飛び降りるが早いか、その線路の...
小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平が何歳の年でしたか。
小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八つの年でした。