ID stringlengths 13 13 | Category stringclasses 12
values | Context stringlengths 1 4.96k | Question stringlengths 7 248 | GroundtruthAnswer stringlengths 2 663 |
|---|---|---|---|---|
JCRRAG_010401 | 国語 | 内供は、積極的にも消極的にも、この傷つけられたプライドを回復しようと思っていた。
第一に内供が考えたのは、この長い鼻を実際のサイズ以上に短く見せる方法である。これは人のいない時に、鏡へ向かって、いろいろな角度から顔を映しながら、熱心に工夫してみた。どうしても、顔の位置を変えるだけでは、安心が出来なくなって、頬杖をついたりアゴの先へ指をあてがったりして、根気よく鏡を覗いて見る事もあった。しかし自分でも満足するほど、鼻が短く見えた事は、これまでただの一度もない。場合によっては苦心すればするほど、かえって鼻が長く見えるような気さえしてきた。内供は、こういう時には、鏡を箱へ片付けながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまた元の経机へ... | 内供が湯屋で人々を観察していたのはなんでですか。 | 池の尾の寺は、僧供による講説などがしばしば行われる寺である。寺の中には、僧坊が隙間なく並んでいて、湯屋では寺の僧が毎日お湯を沸かしている。つまりここへ出入りする僧侶や一般人が非常に多い。内供はこういう人々の顔を根気よく観察した。一人でも自分のような鼻のある人間を見つけて、安心したかったからである。 |
JCRRAG_010402 | 国語 | 内供は、積極的にも消極的にも、この傷つけられたプライドを回復しようと思っていた。
第一に内供が考えたのは、この長い鼻を実際のサイズ以上に短く見せる方法である。これは人のいない時に、鏡へ向かって、いろいろな角度から顔を映しながら、熱心に工夫してみた。どうしても、顔の位置を変えるだけでは、安心が出来なくなって、頬杖をついたりアゴの先へ指をあてがったりして、根気よく鏡を覗いて見る事もあった。しかし自分でも満足するほど、鼻が短く見えた事は、これまでただの一度もない。場合によっては苦心すればするほど、かえって鼻が長く見えるような気さえしてきた。内供は、こういう時には、鏡を箱へ片付けながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまた元の経机へ... | 内供は積極的に鼻の短くなる方法をしてどうなりましたか。 | 烏瓜を煎じて飲んで見た事もある。鼠の尿を乾かした物を鼻へすりつけて見た事もある。しかし何をしたとしても、鼻は依然として、五・六寸の長さをぶらりと唇の上にぶら下げていた。 |
JCRRAG_010403 | 国語 | ある年の秋、内供の仕事も兼ねて、京都へ行った弟子の僧侶が、知り合いの医者から長い鼻を短くする方法を教わって来た。その医者というのは、中国から渡って来た男で、当時は長楽寺の僧侶になっていたのである。
内供は、いつものように鼻などは気にかけないという雰囲気を出していて、わざとその方法もすぐにやって見ようとはいわずにいた。そうして一方では、気軽な口調で「食事するたびに弟子の手間をかけるのが心苦しいんだよなあ」みたいな事を言った。だが内心ではもちろん弟子の僧が、自分を説得して、この方法をやらせようとするのを待っていたのである。
弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそういう策略をとる心境の方... | 内供が弟子が教わって来た長い鼻を短くする方法をやろうとしなかったのはなぜですか。 | 内心ではもちろん弟子の僧が、自分を説得して、この方法をやらせようとするのを待っていたのである。 |
JCRRAG_010404 | 国語 | ある年の秋、内供の仕事も兼ねて、京都へ行った弟子の僧侶が、知り合いの医者から長い鼻を短くする方法を教わって来た。その医者というのは、中国から渡って来た男で、当時は長楽寺の僧侶になっていたのである。
内供は、いつものように鼻などは気にかけないという雰囲気を出していて、わざとその方法もすぐにやって見ようとはいわずにいた。そうして一方では、気軽な口調で「食事するたびに弟子の手間をかけるのが心苦しいんだよなあ」みたいな事を言った。だが内心ではもちろん弟子の僧が、自分を説得して、この方法をやらせようとするのを待っていたのである。
弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそういう策略をとる心境の方... | 折敷に穴をあけて、それを提の蓋にして、その穴から鼻を湯の中へ入れる事にしたのはなぜですか。 | 直接この提げに鼻を入れるとなると、湯気を浴びて顔を火傷する危険性がある。 |
JCRRAG_010405 | 国語 | ある年の秋、内供の仕事も兼ねて、京都へ行った弟子の僧侶が、知り合いの医者から長い鼻を短くする方法を教わって来た。その医者というのは、中国から渡って来た男で、当時は長楽寺の僧侶になっていたのである。
内供は、いつものように鼻などは気にかけないという雰囲気を出していて、わざとその方法もすぐにやって見ようとはいわずにいた。そうして一方では、気軽な口調で「食事するたびに弟子の手間をかけるのが心苦しいんだよなあ」みたいな事を言った。だが内心ではもちろん弟子の僧が、自分を説得して、この方法をやらせようとするのを待っていたのである。
弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそういう策略をとる心境の方... | 内供はなぜ弟子の僧が長い鼻を短くする方法をやっているのに不愉快になったのですか。 | 自分の鼻をまるで物のように取り扱うのが、不愉快に思われたからである。 |
JCRRAG_010406 | 国語 | ある年の秋、内供の仕事も兼ねて、京都へ行った弟子の僧侶が、知り合いの医者から長い鼻を短くする方法を教わって来た。その医者というのは、中国から渡って来た男で、当時は長楽寺の僧侶になっていたのである。
内供は、いつものように鼻などは気にかけないという雰囲気を出していて、わざとその方法もすぐにやって見ようとはいわずにいた。そうして一方では、気軽な口調で「食事するたびに弟子の手間をかけるのが心苦しいんだよなあ」みたいな事を言った。だが内心ではもちろん弟子の僧が、自分を説得して、この方法をやらせようとするのを待っていたのである。
弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそういう策略をとる心境の方... | 内供の短くなった鼻は、翌日になっても短かったですか。 | 一晩寝て翌日早く眼がさめると内供はまず、第一に、自分の鼻を撫でて見た。鼻は依然として短かった。 |
JCRRAG_010407 | 国語 | 二・三日経ってくると、内供は意外な事実を発見した。それはその頃に、用事があって池の尾の寺を訪れた侍が、前よりも一段と面白そうな顔をして、話もろくにしないで、内供の鼻ばっかりじろじろと眺めていた事である。
それだけではなく、かつて、内供の鼻を粥の中へ落とした事のある中童子なぞは、講堂の外で内供と行きちがった時に、始めは、下を向いて笑いをこらえていたが、とうとう耐え切れなかったのか、ブッと吹き出してしまった。用事を言い渡された下法師たちが、面と向かっている間だけはつつしんで聞いていても、内供が後ろを向いたら、すぐにくすくす笑い出したのは、一度や二度の事ではない。
内供ははじめ、これを自分の顔が変わってしまったせいだと解釈した。しかしど... | 用事があって池の尾の寺を訪れた侍は内供を見てどうしましたか。 | 前よりも一段と面白そうな顔をして、話もろくにしないで、内供の鼻ばっかりじろじろと眺めていた。 |
JCRRAG_010408 | 国語 | 二・三日経ってくると、内供は意外な事実を発見した。それはその頃に、用事があって池の尾の寺を訪れた侍が、前よりも一段と面白そうな顔をして、話もろくにしないで、内供の鼻ばっかりじろじろと眺めていた事である。
それだけではなく、かつて、内供の鼻を粥の中へ落とした事のある中童子なぞは、講堂の外で内供と行きちがった時に、始めは、下を向いて笑いをこらえていたが、とうとう耐え切れなかったのか、ブッと吹き出してしまった。用事を言い渡された下法師たちが、面と向かっている間だけはつつしんで聞いていても、内供が後ろを向いたら、すぐにくすくす笑い出したのは、一度や二度の事ではない。
内供ははじめ、これを自分の顔が変わってしまったせいだと解釈した。しかしど... | 内供が日毎に機嫌が悪くなってどうしましたか。 | 二言目には、誰でも意地悪く叱りつけるようになった。 |
JCRRAG_010409 | 国語 | 二・三日経ってくると、内供は意外な事実を発見した。それはその頃に、用事があって池の尾の寺を訪れた侍が、前よりも一段と面白そうな顔をして、話もろくにしないで、内供の鼻ばっかりじろじろと眺めていた事である。
それだけではなく、かつて、内供の鼻を粥の中へ落とした事のある中童子なぞは、講堂の外で内供と行きちがった時に、始めは、下を向いて笑いをこらえていたが、とうとう耐え切れなかったのか、ブッと吹き出してしまった。用事を言い渡された下法師たちが、面と向かっている間だけはつつしんで聞いていても、内供が後ろを向いたら、すぐにくすくす笑い出したのは、一度や二度の事ではない。
内供ははじめ、これを自分の顔が変わってしまったせいだと解釈した。しかしど... | 中童子が犬をおいまわしていたら内供はどうしましたか。 | 内供は、中童子の手からその木の片をひったくって、したたかにその顔を打った。 |
JCRRAG_010410 | 国語 | 二・三日経ってくると、内供は意外な事実を発見した。それはその頃に、用事があって池の尾の寺を訪れた侍が、前よりも一段と面白そうな顔をして、話もろくにしないで、内供の鼻ばっかりじろじろと眺めていた事である。
それだけではなく、かつて、内供の鼻を粥の中へ落とした事のある中童子なぞは、講堂の外で内供と行きちがった時に、始めは、下を向いて笑いをこらえていたが、とうとう耐え切れなかったのか、ブッと吹き出してしまった。用事を言い渡された下法師たちが、面と向かっている間だけはつつしんで聞いていても、内供が後ろを向いたら、すぐにくすくす笑い出したのは、一度や二度の事ではない。
内供ははじめ、これを自分の顔が変わってしまったせいだと解釈した。しかしど... | 自分の鼻が元通り長くなったのを知った内供はどう思いましたか。 | 鼻が短くなった時と同じような、はればれした気持ちが、どこからともなく帰って来るのを感じた。こうなれば、もう誰もわらうものはないにちがいない。内供は心の中でこう自分にささやいた。 |
JCRRAG_010411 | 国語 | 二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊の格好をして、ぴかぴかに光る鉄砲をかついで、白熊のような犬を二匹つれて、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことをいいながら、あるいておりました。
「ここらの山は全体的に良くないね。鳥も獣も一匹もいやしない。なんでもいいから、早くタンタアーンと、銃を撃ってみたいもんだ」
「鹿の黄色の横っ腹に、二・三発お見舞いしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。くるくるまわって、それからどたっと倒れるだろうねえ。」
それはかなりの山奥でした。案内してきた専門の鉄砲打ちも、ちょっと迷って、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。
それに、あまりに山が物凄いので、その白熊のような犬が、二匹いっしょにめ... | 二人の若い紳士が連れてきた犬はどうなりましたか。 | あまりに山が物凄いので、その白熊のような犬が、二匹いっしょにめまいを起こして、しばらくうなって、それから泡を吐いて死んでしまいました。 |
JCRRAG_010412 | 国語 | 二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊の格好をして、ぴかぴかに光る鉄砲をかついで、白熊のような犬を二匹つれて、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことをいいながら、あるいておりました。
「ここらの山は全体的に良くないね。鳥も獣も一匹もいやしない。なんでもいいから、早くタンタアーンと、銃を撃ってみたいもんだ」
「鹿の黄色の横っ腹に、二・三発お見舞いしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。くるくるまわって、それからどたっと倒れるだろうねえ。」
それはかなりの山奥でした。案内してきた専門の鉄砲打ちも、ちょっと迷って、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。
それに、あまりに山が物凄いので、その白熊のような犬が、二匹いっしょにめ... | 山猫軒の玄関には金文字でなんと書かれていましたか。 | 二人は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なものでした。そして硝子の開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」 |
JCRRAG_010413 | 国語 | むかし、あるところに、三人むすこをもった、粉ひき男がいました。もともと、びんぼうでしたから、死んだあとで、こどもたちに分けてやる財産といっても、粉ひき臼をまわす大きな風車と、ロバと、それから、小さい猫一ぴきだけしかありませんでした。さていよいよ財産を分けることになりましたが、公証人や役場の書記を呼ぶではなし、至極無造作に、一番上のむすこが、大きな風車をもらいました。二番目のむすこが、ロバをもらい、すえのむすこが、一匹の小さい猫をもらうことになりました。
すえのむすこは、こんなつまらない財産を分けてもらったので、すっかりしょげかえってしまいました。
「にいさんたちは、めいめいにもらった財産をいっしょにして働けば、りっぱにくらしていけ... | 小さい猫をもらったすえのむすこはどうしましたか。 | すえのむすこは、こんなつまらない財産を分けてもらったので、すっかりしょげかえってしまいました。 |
JCRRAG_010414 | 国語 | 二人は戸を押して、なかへ入りました。そこはすぐ廊下になっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。
「ことにふとったお方や若いお方は、大歓迎いたします」
二人は大歓迎というので、もう大いによろこびました。
「君、ぼくらは大歓迎されてるようなもんだな。」
「ぼくらは両方条件を満たしているからな」
ずんずん廊下を進んで行くと、こんどは水いろのペンキ塗りの扉がありました。
「どうも変な家だ。どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。」
「これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなこうさ。」
そして二人はその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でこう書いてありました。
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこは... | ブラシを板の上に置いたらどうなりましたか。 | ブラシを板の上に置いたしゅんかん、そいつがぼうっとかすんで無くなって、風がどうっと室の中に入ってきました。 |
JCRRAG_010415 | 国語 | 二人は戸を押して、なかへ入りました。そこはすぐ廊下になっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。
「ことにふとったお方や若いお方は、大歓迎いたします」
二人は大歓迎というので、もう大いによろこびました。
「君、ぼくらは大歓迎されてるようなもんだな。」
「ぼくらは両方条件を満たしているからな」
ずんずん廊下を進んで行くと、こんどは水いろのペンキ塗りの扉がありました。
「どうも変な家だ。どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。」
「これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなこうさ。」
そして二人はその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でこう書いてありました。
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこは... | 二人は「どうか帽子とコートと靴をおとり下さい。」と黒い扉に書かれていたのをみてどうしましたか。 | 二人は帽子とオーバーコートを釘にかけ、靴をぬいでぺたぺたあるいて扉の中にはいりました。 |
JCRRAG_010416 | 国語 | 二人は戸を押して、なかへ入りました。そこはすぐ廊下になっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。
「ことにふとったお方や若いお方は、大歓迎いたします」
二人は大歓迎というので、もう大いによろこびました。
「君、ぼくらは大歓迎されてるようなもんだな。」
「ぼくらは両方条件を満たしているからな」
ずんずん廊下を進んで行くと、こんどは水いろのペンキ塗りの扉がありました。
「どうも変な家だ。どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。」
「これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなこうさ。」
そして二人はその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でこう書いてありました。
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこは... | 二人は「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落としてください。」という文字をみてどうしましたか。 | 二人は、きれいに髪をとかして、靴の泥を落としました。 |
JCRRAG_010417 | 国語 | 二人は戸を押して、なかへ入りました。そこはすぐ廊下になっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。
「ことにふとったお方や若いお方は、大歓迎いたします」
二人は大歓迎というので、もう大いによろこびました。
「君、ぼくらは大歓迎されてるようなもんだな。」
「ぼくらは両方条件を満たしているからな」
ずんずん廊下を進んで行くと、こんどは水いろのペンキ塗りの扉がありました。
「どうも変な家だ。どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。」
「これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなこうさ。」
そして二人はその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でこう書いてありました。
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこは... | 二人は「鉄砲と弾丸をここへ置いてください。」と扉の内側に書かれていたのをどうしましたか。 | 二人は鉄砲をはずし、帯皮を解いて、それを台の上に置きました。 |
JCRRAG_010418 | 国語 | 二人は戸を押して、なかへ入りました。そこはすぐ廊下になっていました。その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。
「ことにふとったお方や若いお方は、大歓迎いたします」
二人は大歓迎というので、もう大いによろこびました。
「君、ぼくらは大歓迎されてるようなもんだな。」
「ぼくらは両方条件を満たしているからな」
ずんずん廊下を進んで行くと、こんどは水いろのペンキ塗りの扉がありました。
「どうも変な家だ。どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。」
「これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなこうさ。」
そして二人はその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でこう書いてありました。
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこは... | 二人は「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金物類、特に尖った物は、みんなここに置いてください」と書いてあったのを見てどうしましたか。 | 二人はめがねをはずしたり、カフスボタンをとったり、みんな金庫のなかに入れて、ぱちんと錠をかけました。 |
JCRRAG_010419 | 国語 | すこし行くとまた扉があって、その前に硝子の壺が一つありました。扉にはこう書いてありました。
「壺のなかのクリームを顔や手足にしっかり塗ってください。」
みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。
「クリームをぬれというのはどういうことなんだ?」
「これはね、外がひじょうに寒いだろう。へやのなかがあんまり暖かいと肌がひび割れるから、その予防なんだ。どうも奥には、よほどえらいひとがきている。こんなとこで、もしかしたらぼくらは貴族とお知り合いになるかも知れないよ。」
二人は壺のクリームを、顔に塗って手に塗ってそれから靴下をぬいで足に塗りました。それでもまだ残っていましたから、それは二人ともそれぞれこっそり顔へ塗るふりをしなが... | 二人は「壺のなかのクリームを顔や手足にしっかり塗ってください。」と書かれていたのをみるとどうしましたか。 | 二人は壺のクリームを、顔に塗って手に塗ってそれから靴下をぬいで足に塗りました。 |
JCRRAG_010420 | 国語 | 二人は扉をあけて中にはいりました。
扉の裏側には、大きな字でこう書いてありました。
「いろいろ注文が多くてうるさかったですよね。お気の毒でした。
もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください。」
なるほど立派な青い瀬戸の塩壺は置いてありましたが、こんどというこんどは二人ともぎょっとしてお互いにクリームをたくさん塗った顔を見ました。
「どうもおかしいぜ。」
「ぼくもおかしいとおもう。」
「たくさんの注文というのは、向こうがこっちへ注文してるんだよ。」
「だからさ、西洋料理店というのは、ぼくの考えるところでは、西洋料理を、来た人にたべさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして、食べてやる家というこ... | 二人は「壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください。」と書かれていた文字を見てどうしましたか。 | 二人ともぎょっとしてお互いにクリームをたくさん塗った顔を見ました。 |
JCRRAG_010421 | 国語 | 二人は扉をあけて中にはいりました。
扉の裏側には、大きな字でこう書いてありました。
「いろいろ注文が多くてうるさかったですよね。お気の毒でした。
もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください。」
なるほど立派な青い瀬戸の塩壺は置いてありましたが、こんどというこんどは二人ともぎょっとしてお互いにクリームをたくさん塗った顔を見ました。
「どうもおかしいぜ。」
「ぼくもおかしいとおもう。」
「たくさんの注文というのは、向こうがこっちへ注文してるんだよ。」
「だからさ、西洋料理店というのは、ぼくの考えるところでは、西洋料理を、来た人にたべさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして、食べてやる家というこ... | かぎ穴からはきょろきょろ二つの青い眼玉がこっちをのぞいているのをみた二人はどうしましたか。 | 「うわあ。」がたがたがたがた。二人は泣き出しました。 |
JCRRAG_010422 | 国語 | むかしむかし、イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のことでございます。ロンドンの都からとおくはなれたいなかのこやに、未亡人の女のひとが、ちいさいむすこのジャックをあいてに、さびしくくらしていました。かけがえのないひとりむすこですし、それに、ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。
こんなふうで、のらくらむすこをかかえた上に、このやもめの人は、どういうものか運がわるくて、年々ものが足たりなくなるばかり、ある年の冬には、もう手ま... | ジャックの母親はなぜジャックをかわいがってどうしましたか。 | 母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。 |
JCRRAG_010423 | 国語 | むかしむかし、イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のことでございます。ロンドンの都からとおくはなれたいなかのこやに、未亡人の女のひとが、ちいさいむすこのジャックをあいてに、さびしくくらしていました。かけがえのないひとりむすこですし、それに、ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。
こんなふうで、のらくらむすこをかかえた上に、このやもめの人は、どういうものか運がわるくて、年々ものが足たりなくなるばかり、ある年の冬には、もう手ま... | ジャックの家でおかねになるものはどれだけになってしまいましたか。 | うちの中で、どうにかおかねになるものといっては、たった一ぴきのこった牝牛だけになってしまいました。 |
JCRRAG_010424 | 国語 | むかしむかし、イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のことでございます。ロンドンの都からとおくはなれたいなかのこやに、未亡人の女のひとが、ちいさいむすこのジャックをあいてに、さびしくくらしていました。かけがえのないひとりむすこですし、それに、ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。
こんなふうで、のらくらむすこをかかえた上に、このやもめの人は、どういうものか運がわるくて、年々ものが足たりなくなるばかり、ある年の冬には、もう手ま... | ジャックは親方に魔法の豆と牝牛をとりかえっこしようといわれてどうしましたか。 | ジャックは、その男のいうなりに、牝牛と豆の袋ととりかえっこしました。 |
JCRRAG_010425 | 国語 | むかしむかし、イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のことでございます。ロンドンの都からとおくはなれたいなかのこやに、未亡人の女のひとが、ちいさいむすこのジャックをあいてに、さびしくくらしていました。かけがえのないひとりむすこですし、それに、ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。
こんなふうで、のらくらむすこをかかえた上に、このやもめの人は、どういうものか運がわるくて、年々ものが足たりなくなるばかり、ある年の冬には、もう手ま... | ジャックが豆と牝牛をとりかえっこしたことを母親に言ったら母親はどうしましたか。 | 母親は、それをきいてよろこぶどころか、あべこべにひどくしかりました。 |
JCRRAG_010426 | 国語 | その翌朝、ジャックは目をさまして、もう夜があけたのに、なんだかくらいなとおもって、ふと窓のそとをみました。するとどうでしょう、きのう庭になげすてた豆の種子から、芽が生えて、ひと晩のうちに、ふとい、じょうぶそうな豆の大木が、みあげるほどたかくのびて、それこそ庭いっぱい、うっそうとしげっているではありませんか。
びっくりしてとびおきて、すぐと庭へおりてみますと、どうして、たかいといって、豆の木は、それこそほうずのしれないたかさに、空の上までのびていました。つると葉とがからみあって、それは、空の中をどんとつきぬけて、まるで豆の木のはしごのように、しっかりと立っていました。
「あれをつたわって、てっぺんまでのぼって行ったら、一体どこまで行... | ジャックは空の上までのびていた豆の木をみてどうしましたか。 | 「あれをつたわって、てっぺんまでのぼって行ったら、一体どこまで行けるんだろう。」そうおもって、ジャックは、すぐにはしごにのぼりはじめました。 |
JCRRAG_010427 | 国語 | その翌朝、ジャックは目をさまして、もう夜があけたのに、なんだかくらいなとおもって、ふと窓のそとをみました。するとどうでしょう、きのう庭になげすてた豆の種子から、芽が生えて、ひと晩のうちに、ふとい、じょうぶそうな豆の大木が、みあげるほどたかくのびて、それこそ庭いっぱい、うっそうとしげっているではありませんか。
びっくりしてとびおきて、すぐと庭へおりてみますと、どうして、たかいといって、豆の木は、それこそほうずのしれないたかさに、空の上までのびていました。つると葉とがからみあって、それは、空の中をどんとつきぬけて、まるで豆の木のはしごのように、しっかりと立っていました。
「あれをつたわって、てっぺんまでのぼって行ったら、一体どこまで行... | 雲の上のふしぎな国はどんな景色でしたか。 | 青々としげった、しずかな森がありました。うつくしい花のさいている草原もありました。水晶のようにきれいな水のながれている川もありました。 |
JCRRAG_010428 | 国語 | その翌朝、ジャックは目をさまして、もう夜があけたのに、なんだかくらいなとおもって、ふと窓のそとをみました。するとどうでしょう、きのう庭になげすてた豆の種子から、芽が生えて、ひと晩のうちに、ふとい、じょうぶそうな豆の大木が、みあげるほどたかくのびて、それこそ庭いっぱい、うっそうとしげっているではありませんか。
びっくりしてとびおきて、すぐと庭へおりてみますと、どうして、たかいといって、豆の木は、それこそほうずのしれないたかさに、空の上までのびていました。つると葉とがからみあって、それは、空の中をどんとつきぬけて、まるで豆の木のはしごのように、しっかりと立っていました。
「あれをつたわって、てっぺんまでのぼって行ったら、一体どこまで行... | ジャックが城に入れるのを鬼のおかみさんがことわったらジャックはどうしましたか。 | 「どうか、おばさん、知らないようにしてとめてくださいよ。ぼく、もうくたびれて、ひと足もあるけないんです。」と、たのむように、ジャックはいいました。 |
JCRRAG_010429 | 国語 | その翌朝、ジャックは目をさまして、もう夜があけたのに、なんだかくらいなとおもって、ふと窓のそとをみました。するとどうでしょう、きのう庭になげすてた豆の種子から、芽が生えて、ひと晩のうちに、ふとい、じょうぶそうな豆の大木が、みあげるほどたかくのびて、それこそ庭いっぱい、うっそうとしげっているではありませんか。
びっくりしてとびおきて、すぐと庭へおりてみますと、どうして、たかいといって、豆の木は、それこそほうずのしれないたかさに、空の上までのびていました。つると葉とがからみあって、それは、空の中をどんとつきぬけて、まるで豆の木のはしごのように、しっかりと立っていました。
「あれをつたわって、てっぺんまでのぼって行ったら、一体どこまで行... | 大男はジャックをみつけることができなくてどうしましたか。 | 鬼は、椅子の上に腰をおろしました。そしてがつがつ、がぶがぶ、たべたりのんだりしはじめました。 |
JCRRAG_010430 | 国語 | たらふくたべてのんだあげく、おかみさんに、
「おい、にわとりをつれてこい。」といいつけました。
それは、ふしぎなめんどりでした。テーブルの上にのせて、鬼が、「生め。」といいますと、すぐ金のたまごをひとつ生みました。鬼がまた、「生め。」といいますと、またひとつ、金のたまごを生みました。
「やあ、ずいぶん、とくなにわとりだな。おとうさんのおたからというのは、きっとこれにちがいない。」と、下からそっとながめながら、ジャックはそうおもいました。
鬼はおもしろがって、あとからあとから、いくつもいくつも、金のたまごを生ましているうち、おなかがはってねむたくなったとみえて、ぐすぐすと壁のうごくほどすごい大いびきを立てながら、ぐっすりねこんでし... | ジャックは鬼がぐっすりねこんでしまったらどうしましたか。 | テーブルの上のめんどりを、ちょろり小わきにかかえて、すたこらお城を出て行きました。それから、どんどん、どんどん、かけだして行って、豆の木のはしごのかかっている所までくると、するするとつたわっておりて、うちへかえりました。 |
JCRRAG_010431 | 国語 | しばらくすると、ジャックはまた、もういちど空の上のお城に行ってみたくなりました。そこで、こんどは、この間とは違った変装をして、ある日、豆の木のはしごを、またするするとのぼって行きました。鬼のお城に行って、門をたたくと、鬼のおかみさんが出てきました。ジャックが、またかなしそうに、とめてもらいたいといって、たのみますと、おかみさんは、まさかジャックとは気がつかないようでしたが、それでも手をふって、
「いけない、いけない。この前も、お前とおなじような貧乏たらしいこどもをとめて、主人のだいじなにわとりを、ちょっくらもって行かせた。それからはまい晩、そのことをいいだして、わたしが、延々としかられているじゃないか。またもあんなひどいめにあうのは... | ジャックはこの間とは違った変装をして空の上のお城に行ったらおかみさんはどうしましたか。 | おかみさんは、まさかジャックとは気がつかないようでした。 |
JCRRAG_010432 | 国語 | しばらくすると、ジャックはまた、もういちど空の上のお城に行ってみたくなりました。そこで、こんどは、この間とは違った変装をして、ある日、豆の木のはしごを、またするするとのぼって行きました。鬼のお城に行って、門をたたくと、鬼のおかみさんが出てきました。ジャックが、またかなしそうに、とめてもらいたいといって、たのみますと、おかみさんは、まさかジャックとは気がつかないようでしたが、それでも手をふって、
「いけない、いけない。この前も、お前とおなじような貧乏たらしいこどもをとめて、主人のだいじなにわとりを、ちょっくらもって行かせた。それからはまい晩、そのことをいいだして、わたしが、延々としかられているじゃないか。またもあんなひどいめにあうのは... | 金と銀のおたからのいっぱいつまった袋の番人である小犬がきゃんきゃん吠えだしたら大男はどうなりましたか。 | 大男は、とても死んだようによくねていて、目をさましませんでした。 |
JCRRAG_010433 | 国語 | しばらくすると、ジャックはまた、もういちど空の上のお城に行ってみたくなりました。そこで、こんどは、この間とは違った変装をして、ある日、豆の木のはしごを、またするするとのぼって行きました。鬼のお城に行って、門をたたくと、鬼のおかみさんが出てきました。ジャックが、またかなしそうに、とめてもらいたいといって、たのみますと、おかみさんは、まさかジャックとは気がつかないようでしたが、それでも手をふって、
「いけない、いけない。この前も、お前とおなじような貧乏たらしいこどもをとめて、主人のだいじなにわとりを、ちょっくらもって行かせた。それからはまい晩、そのことをいいだして、わたしが、延々としかられているじゃないか。またもあんなひどいめにあうのは... | おかあさんはジャックの顔をみるとどうなりましたか。 | ぶじなジャックの顔をみるとまるで死んだ人が生きかえったようになって、それからずんずんよくなって、やがて、しゃんしゃんあるきだしました。 |
JCRRAG_010434 | 国語 | しばらくの間、ジャックは、うちで、おとなしくしていました。そうするうちに、だんだん、からだじゅう、むずむずして来ました。もうまた天上の城に行きたくなって、まいにち、豆の木のはしごばかりながめていました。するとそれが気になって、気になって、憂鬱になってきました。
そこで、ジャックは、ある日また、そっと豆の木のはしごをつたわってのぼりました。こんども顔から姿から、すっかりほかのこどもになって行きましたから、鬼のおかみさんは、まただまされて、中に入れました。そして、大男がかえると、あわてて、お釜のなかにかくしてくれました。
鬼の大男は、へや中をかぎまわって、ふん、ふん、人くさいぞといいました。そして、こんどは、なんでもさがしだしてやる... | ジャックは天上の城に行きたくなって、憂鬱になった後どうしましたか。 | ジャックは、ある日また、そっと豆の木のはしごをつたわってのぼりました。 |
JCRRAG_010435 | 国語 | しばらくの間、ジャックは、うちで、おとなしくしていました。そうするうちに、だんだん、からだじゅう、むずむずして来ました。もうまた天上の城に行きたくなって、まいにち、豆の木のはしごばかりながめていました。するとそれが気になって、気になって、憂鬱になってきました。
そこで、ジャックは、ある日また、そっと豆の木のはしごをつたわってのぼりました。こんども顔から姿から、すっかりほかのこどもになって行きましたから、鬼のおかみさんは、まただまされて、中に入れました。そして、大男がかえると、あわてて、お釜のなかにかくしてくれました。
鬼の大男は、へや中をかぎまわって、ふん、ふん、人くさいぞといいました。そして、こんどは、なんでもさがしだしてやる... | ジャックはハープの音色を聞いたらどうなりましたか。 | ジャックは、金のたまごのにわとりよりも、金と銀とのいっぱいつまった袋よりも、もっともっと、このハープがほしくなりました。 |
JCRRAG_010436 | 国語 | しばらくの間、ジャックは、うちで、おとなしくしていました。そうするうちに、だんだん、からだじゅう、むずむずして来ました。もうまた天上の城に行きたくなって、まいにち、豆の木のはしごばかりながめていました。するとそれが気になって、気になって、憂鬱になってきました。
そこで、ジャックは、ある日また、そっと豆の木のはしごをつたわってのぼりました。こんども顔から姿から、すっかりほかのこどもになって行きましたから、鬼のおかみさんは、まただまされて、中に入れました。そして、大男がかえると、あわてて、お釜のなかにかくしてくれました。
鬼の大男は、へや中をかぎまわって、ふん、ふん、人くさいぞといいました。そして、こんどは、なんでもさがしだしてやる... | ジャックが豆の木を切ったら大男はどうなりましたか。 | 切れた豆のつるをつかんだまま、大きなからだのおもみで、ずしんと、それこそ地びたが、めりこむような音を立てて、落ちてきました。そして、それから、目をまわして死んでしまいました。 |
JCRRAG_010437 | 国語 | しばらくの間、ジャックは、うちで、おとなしくしていました。そうするうちに、だんだん、からだじゅう、むずむずして来ました。もうまた天上の城に行きたくなって、まいにち、豆の木のはしごばかりながめていました。するとそれが気になって、気になって、憂鬱になってきました。
そこで、ジャックは、ある日また、そっと豆の木のはしごをつたわってのぼりました。こんども顔から姿から、すっかりほかのこどもになって行きましたから、鬼のおかみさんは、まただまされて、中に入れました。そして、大男がかえると、あわてて、お釜のなかにかくしてくれました。
鬼の大男は、へや中をかぎまわって、ふん、ふん、人くさいぞといいました。そして、こんどは、なんでもさがしだしてやる... | 大男が死んだあとに、妖女はどんな姿になってジャックの前に現れましたか。 | 目のさめるように美しい女の人の姿になって、またそこへ出て来ました。きらびやかで品のいい貴婦人のような身なりをして、白い杖を手にもっていました。杖のあたまには、純金のくじゃくを、とまらせていました。 |
JCRRAG_010438 | 国語 | 森の中。三人の盗人が宝を争っている。宝とはひとっとび千里を飛ぶ長靴、着れば姿の隠れるマント、鉄でも真っ二つに切れる剣、ただしどれも見たところは、古道具らしい物ばかりである。
第一の盗人 そのマントをこっちへよこせ。
第二の盗人 よけいな事をいうな。その剣こそこっちへよこせ。おや、おれの長靴を盗んだな。
第三の盗人 この長靴はおれの物じゃないか? 貴様こそおれの物を盗んだのだ。
第一の盗人 よしよし、ではこのマントはおれが貰って置こう。
第二の盗人 こんちくしょう! 貴様なんかに渡してたまるものか。
第一の盗人 よくもおれをなぐったな。おや、またおれの剣も盗んだな?
第三の盗人 何だ、このマント泥棒め!
三人の者が大喧嘩になる。そこへ... | 三人の盗人が争っている三つの宝はなんですか。 | 宝とはひとっとび千里を飛ぶ長靴、着れば姿の隠れるマント、鉄でも真っ二つに切れる剣、ただしどれも見たところは、古道具らしい物ばかりである。 |
JCRRAG_010439 | 国語 | もう一つ見世物があります。これは皇帝と皇后と総理大臣の前だけで、やらされる特別の余興なのです。皇帝はテーブルの上に、長さ六インチの細い絹糸を三本置きます。一つは青色の糸、一つは赤色の糸、もう一つは緑色の糸です。皇帝は、特に取り立てて目をかけてやろうとする人たちに、この賞品をやるのです。
まず宮廷の大広間で、候補者たちは、皇帝からいろんな試験を受けます。皇帝が手に一本の棒を構えていると、候補者たちが一人ずつ進んで来ます。棒の指図にしたがって、人々は、その上を跳び越えたり、潜ったり、前へ行ったり後へ行ったり、そんなことを何度も繰り返すのです。
皇帝からの試験を一番うまく熱心にやった者に、もっとも優れた者として、皇帝から青色の糸が授け... | 皇帝からの試験を一番うまく熱心にやった者に授けられるのはなんですか。 | 皇帝からの試験を一番うまく熱心にやった者に、もっとも優れた者として、皇帝から青色の糸が授けられます。 |
JCRRAG_010440 | 国語 | もう一つ見世物があります。これは皇帝と皇后と総理大臣の前だけで、やらされる特別の余興なのです。皇帝はテーブルの上に、長さ六インチの細い絹糸を三本置きます。一つは青色の糸、一つは赤色の糸、もう一つは緑色の糸です。皇帝は、特に取り立てて目をかけてやろうとする人たちに、この賞品をやるのです。
まず宮廷の大広間で、候補者たちは、皇帝からいろんな試験を受けます。皇帝が手に一本の棒を構えていると、候補者たちが一人ずつ進んで来ます。棒の指図にしたがって、人々は、その上を跳び越えたり、潜ったり、前へ行ったり後へ行ったり、そんなことを何度も繰り返すのです。
皇帝からの試験を一番うまく熱心にやった者に、もっとも優れた者として、皇帝から青色の糸が授け... | 皇帝と皇后と総理大臣の前だけでやらされる特別な余興とはなんですか。 | 宮廷の大広間で、候補者たちは、皇帝からいろんな試験を受けます。皇帝が手に一本の棒を構えていると、候補者たちが一人ずつ進んで来ます。棒の指図にしたがって、人々は、その上を跳び越えたり、潜ったり、前へ行ったり後へ行ったり、そんなことを何度も繰り返すのです。 |
JCRRAG_010441 | 国語 | 「黄金の角笛」という宿屋の酒場。酒場の隅では王子がパンをかじっている。王子のほかにも客が七・八人、これは皆村の農夫らしい。
宿屋の主人 いよいよ王女の御婚礼があるそうだね。
第一の農夫 そういう話だ。なんでも御壻になる人は、黒人の王様だというじゃないか?
第二の農夫 しかし王女はあの王様が大嫌いだという噂だぜ。
第一の農夫 嫌いならやめればいいのに。
主人 ところがその黒人の王様は、三つの宝ものを持っている。第一が千里飛べる長靴、第二が鉄さえ切れる剣、第三が姿の隠れるマント、それを皆献上するというものだから、欲の深いこの国の王様は、王女をやるとおっしゃったのだそうだ。
第二の農夫 おかわいそうなのは王女御一人だな。
第一の農夫 誰か... | 「黄金の角笛」という宿屋の酒場で王子は何をしていましたか。 | 酒場の隅では王子がパンをかじっている。 |
JCRRAG_010442 | 国語 | 「黄金の角笛」という宿屋の酒場。酒場の隅では王子がパンをかじっている。王子のほかにも客が七・八人、これは皆村の農夫らしい。
宿屋の主人 いよいよ王女の御婚礼があるそうだね。
第一の農夫 そういう話だ。なんでも御壻になる人は、黒人の王様だというじゃないか?
第二の農夫 しかし王女はあの王様が大嫌いだという噂だぜ。
第一の農夫 嫌いならやめればいいのに。
主人 ところがその黒人の王様は、三つの宝ものを持っている。第一が千里飛べる長靴、第二が鉄さえ切れる剣、第三が姿の隠れるマント、それを皆献上するというものだから、欲の深いこの国の王様は、王女をやるとおっしゃったのだそうだ。
第二の農夫 おかわいそうなのは王女御一人だな。
第一の農夫 誰か... | 王女を助けられる人はいないのかという問いに主人はなんと答えましたか。 | いろいろな国の王子の中には、そういう人もいるそうだが、何分あの黒人の王様にはかなわないから、みんな指をくわえているのだとさ。 |
JCRRAG_010443 | 国語 | 「黄金の角笛」という宿屋の酒場。酒場の隅では王子がパンをかじっている。王子のほかにも客が七・八人、これは皆村の農夫らしい。
宿屋の主人 いよいよ王女の御婚礼があるそうだね。
第一の農夫 そういう話だ。なんでも御壻になる人は、黒人の王様だというじゃないか?
第二の農夫 しかし王女はあの王様が大嫌いだという噂だぜ。
第一の農夫 嫌いならやめればいいのに。
主人 ところがその黒人の王様は、三つの宝ものを持っている。第一が千里飛べる長靴、第二が鉄さえ切れる剣、第三が姿の隠れるマント、それを皆献上するというものだから、欲の深いこの国の王様は、王女をやるとおっしゃったのだそうだ。
第二の農夫 おかわいそうなのは王女御一人だな。
第一の農夫 誰か... | 王子が飛び上がったらどうなりましたか。 | 王子はいきおいよく飛び上がる。が、戸口へも届かない内に、どたりと尻餅をついてしまう。 |
JCRRAG_010444 | 国語 | 王城の庭。薔薇の花の中に噴水が上がっている。誰もいなかったが、しばらくしたら、マントを着た王子が出て来た。
王子 やはりこのマントを着たと思うと、たちまち姿が隠れるように見える。わたしは城の門をはいってから、兵士にもあったし侍女にもあった。が、誰も私を咎めない。このマントさえ着ていれば、この薔薇を吹いている風のように、王女の部屋へもはいれるだろう。おや、あそこへ歩いて来たのは、噂に聞いた王女じゃないか? どこかへ一時身を隠すかいや、そんな必要はない、わたしはここに立っていても、王女の眼には見えないはずだ。
王女は噴水の縁へ来ると、悲しそうにため息をついた。
王女 わたしは何という不幸者なのだろう。もう一週間もたたない内に、あの憎らし... | 王子がマントを着ていたら兵士にも侍女にも咎められなかったにといったら、王女はなんと答えましたか。 | そんな古いマントを着ていらっしゃれば下男か何かと思われますもの。 |
JCRRAG_010445 | 国語 | ブレフスキュ帝国というのは、リリパットの北東にあたる島で、この国とはわずか八百ヤードの海峡で隔っています。私はまだ一度もその島を見たことはなかったのですが、こんどの話を聞いてからは、敵の船に見つけられるといけないので、そちら側の海岸へは、出て行かないように努めました。戦争になって以来、両国の人々は行き来してはいけないことになっており、船が港に出入りすることも皇帝の命令でとめられていたので、私のことは、敵側にはまだ知られていないはずです。
私は一つの計略を皇帝に申し上げました。
「なんでも斥候の報告では、敵の全艦隊は、順風を待って出動しようとして、今、港に錨をおろしているそうですから、これを全部とっつかまえて御覧にいれましょう。」... | 私が皇帝に申し上げた計略を教えてください。 | 私は一つの計略を皇帝に申し上げました。
「なんでも斥候の報告では、敵の全艦隊は、順風を待って出動しようとして、今、港に錨をおろしているそうですから、これを全部とっつかまえて御覧にいれましょう。」
その計略に大臣は相手をいたずらに怒らせるだけだと反対しましたが、皇帝はその計略を見事だと納得して許可してくれました。 |
JCRRAG_010446 | 国語 | ブレフスキュ帝国というのは、リリパットの北東にあたる島で、この国とはわずか八百ヤードの海峡で隔っています。私はまだ一度もその島を見たことはなかったのですが、こんどの話を聞いてからは、敵の船に見つけられるといけないので、そちら側の海岸へは、出て行かないように努めました。戦争になって以来、両国の人々は行き来してはいけないことになっており、船が港に出入りすることも皇帝の命令でとめられていたので、私のことは、敵側にはまだ知られていないはずです。
私は一つの計略を皇帝に申し上げました。
「なんでも斥候の報告では、敵の全艦隊は、順風を待って出動しようとして、今、港に錨をおろしているそうですから、これを全部とっつかまえて御覧にいれましょう。」... | 私は水夫たちに海峡の深さを聞いたら答えはなんでしたか。 | 私は水夫たちに、海峡の深さを聞いてみました。彼等は何度もはかってみたことがあるので、よく知っていましたが、それによると、満潮のときが真中の深さが六フィート、そのほかの場所なら、まず四フィートだということです。 |
JCRRAG_010447 | 国語 | ブレフスキュ帝国というのは、リリパットの北東にあたる島で、この国とはわずか八百ヤードの海峡で隔っています。私はまだ一度もその島を見たことはなかったのですが、こんどの話を聞いてからは、敵の船に見つけられるといけないので、そちら側の海岸へは、出て行かないように努めました。戦争になって以来、両国の人々は行き来してはいけないことになっており、船が港に出入りすることも皇帝の命令でとめられていたので、私のことは、敵側にはまだ知られていないはずです。
私は一つの計略を皇帝に申し上げました。
「なんでも斥候の報告では、敵の全艦隊は、順風を待って出動しようとして、今、港に錨をおろしているそうですから、これを全部とっつかまえて御覧にいれましょう。」... | 私の姿にびっくりした敵はどうしましたか。 | 私の姿にびっくりした敵は、すっかりあわてて、われ先に海に飛び込んでは、岸の方へ泳いで行きます。勇敢な者は私に向かって武器を構えています。 |
JCRRAG_010448 | 国語 | 一本木の野原の北のはずれに、少し小高く盛りあがった所がありました。エノコログサがいっぱいに生え、そのまん中には一本の奇麗な女の樺の木がありました。
それはそんなに大きくはありませんでしたが幹はてかてか黒く光り、枝は美しく伸びて、五月には白い花を雲のようにつけ、秋は黄金や紅や色んな葉を降らせました。
ですから渡り鳥のカッコウや百舌も、また小さなミソサザイやメジロもみんなこの木に止まりました。ただもしも若い鷹などが来ているときは小さな鳥は遠くからそれを見つけて決して近くへ寄りませんでした。
この木に二人の友達がいました。一人は丁度、五百歩ばかり離れたぐちゃぐちゃの谷地の中に住んでいる土神で、一人はいつも野原の南の方からやって来る... | 樺の木に鷹が止まってる時はほかの鳥はどうしていましたか。 | 小さな鳥は遠くからそれを見つけて決して近くへ寄りませんでした。 |
JCRRAG_010449 | 国語 | 夏のはじめのある晩でした。樺には新しいやわらかな葉がいっぱいついて、いい香りがそこら中に溢れ、空にはもう天の川がキラキラと渡り、星は一面ふるえたりゆれたり灯ったり消えたりしていました。
その下を狐が詩集をもって遊びに行ったのでした。仕立ておろした紺の背広を着て、赤革の靴もキッキッと鳴ったのです。
「実にしずかな晩ですねえ。」
「ええ。」樺の木はそっと返事をしました。
「蝎座が向こうをはっていますね。あの赤い大きなやつ(アンタレス)を昔は中国では火といったんですよ。」
「火星とはちがうんでしょうか。」
「火星とはちがいますよ。火星は惑星ですね、ところがあいつは立派な恒星なんです。」
「惑星、恒星ってどうちがうんですか?。」
「惑星と... | 夏のはじめのある晩に樺の木の元へ遊びに来た狐の格好を教えてください。 | 仕立ておろした紺の背広を着て、赤革の靴もキッキッと鳴ったのです。 |
JCRRAG_010450 | 国語 | 「まあ、あたしもいつか見たいわ。魚の口の形の星だなんてまあどんなに立派でしょう。」
「それは立派ですよ。僕は水沢の天文台で見ましたがね。」
「まあ、あたしも見たいわ。」
「見せてあげましょう。僕、実は望遠鏡をドイツのツァイスに注文してあるんです。来年の春までには来ますから、来たらすぐ見せてあげましょう。」狐は思わずこういってしまいました。そしてすぐ考えたのです。ああ僕はたった一人のお友達にまたついウソをいってしまった。ああ僕はほんとうにだめなやつだ。けれども決して悪い気でいったんじゃない。よろこばせようと思っていったんだ。あとですっかり本当のことをいってしまおう、狐はしばらく静まりながらこう考えていたのでした。樺の木はそんなことも知... | 樺の木は狐から借りたハイネの詩集をどうしましたか。 | 樺の木はその時吹いて来た南風にざわざわ葉を鳴らしながら狐の置いて行った詩集をとりあげて天の川やそらいちめんの星から来るかすかなあかりにすかしてページをめくりました。そのハイネの詩集にはロウレライやさまざま美しい歌がいっぱいありました。そして樺の木は一晩中よみ続けました。 |
JCRRAG_010451 | 国語 | 「まあ、あたしもいつか見たいわ。魚の口の形の星だなんてまあどんなに立派でしょう。」
「それは立派ですよ。僕は水沢の天文台で見ましたがね。」
「まあ、あたしも見たいわ。」
「見せてあげましょう。僕、実は望遠鏡をドイツのツァイスに注文してあるんです。来年の春までには来ますから、来たらすぐ見せてあげましょう。」狐は思わずこういってしまいました。そしてすぐ考えたのです。ああ僕はたった一人のお友達にまたついウソをいってしまった。ああ僕はほんとうにだめなやつだ。けれども決して悪い気でいったんじゃない。よろこばせようと思っていったんだ。あとですっかり本当のことをいってしまおう、狐はしばらく静まりながらこう考えていたのでした。樺の木はそんなことも知... | 狐は望遠鏡をどこに注文したと言いましたか。 | 望遠鏡をドイツのツァイスに注文してあるんです。来年の春までには来ますから、来たらすぐ見せてあげましょう。狐は思わずこういってしまいました。 |
JCRRAG_010452 | 国語 | 「まあ、あたしもいつか見たいわ。魚の口の形の星だなんてまあどんなに立派でしょう。」
「それは立派ですよ。僕は水沢の天文台で見ましたがね。」
「まあ、あたしも見たいわ。」
「見せてあげましょう。僕、実は望遠鏡をドイツのツァイスに注文してあるんです。来年の春までには来ますから、来たらすぐ見せてあげましょう。」狐は思わずこういってしまいました。そしてすぐ考えたのです。ああ僕はたった一人のお友達にまたついウソをいってしまった。ああ僕はほんとうにだめなやつだ。けれども決して悪い気でいったんじゃない。よろこばせようと思っていったんだ。あとですっかり本当のことをいってしまおう、狐はしばらく静まりながらこう考えていたのでした。樺の木はそんなことも知... | 土神はこらえ切れなくなってどうしましたか。 | 土神は日光を受けてまるで燃えるようになりながら高く腕を組みキリキリ歯噛みをしてその辺をうろうろしていましたが、考えれば考えるほど何もかもしゃくにさわって来るようでした。そしてとうとうこらえ切れなくなって、吠えるようにうなって荒々しく自分の谷地に帰って行ったのでした。 |
JCRRAG_010453 | 国語 | 「まあ、あたしもいつか見たいわ。魚の口の形の星だなんてまあどんなに立派でしょう。」
「それは立派ですよ。僕は水沢の天文台で見ましたがね。」
「まあ、あたしも見たいわ。」
「見せてあげましょう。僕、実は望遠鏡をドイツのツァイスに注文してあるんです。来年の春までには来ますから、来たらすぐ見せてあげましょう。」狐は思わずこういってしまいました。そしてすぐ考えたのです。ああ僕はたった一人のお友達にまたついウソをいってしまった。ああ僕はほんとうにだめなやつだ。けれども決して悪い気でいったんじゃない。よろこばせようと思っていったんだ。あとですっかり本当のことをいってしまおう、狐はしばらく静まりながらこう考えていたのでした。樺の木はそんなことも知... | 樺の木がどうしていいかわからなくなった理由はなんですか。 | 樺の木は折角なだめようと思っていったことがまたもやかえってこんなことになったのでもうどうしたらいいかわからなくなり、ただちらちらとその葉を風にゆすっていました。 |
JCRRAG_010454 | 国語 | 土神の棲んでいる所は小さな競馬場ぐらいあり、冷たい湿地で苔やから草や短い蘆などが生えていましたがまた所々にはアザミや背の低いひどくねじれたヤナギなどもいました。
水がじめじめしてその表面にはあちこち赤い鉄の渋が湧きあがり見るからにどろどろで気味も悪いのでした。
そのまん中の小さな島のようになった所に丸太でこしらえた高さ一間ばかりの土神の祠があったのです。
土神はその島に帰って来て祠の横に長々と寝そべりました。そして黒いやせた脚をがりがり掻きました。土神は一羽の鳥が自分の頭の上をまっすぐに翔けて行くのを見ました。すぐ土神は起き上がって座り「しっ」と叫びました。鳥はびっくりしてよろよろっと落ちそうになり、それからまるではねも何もし... | 土神は起き上がって座り「しっ」と叫んだら鳥はどうなりましたか。 | 鳥はびっくりしてよろよろっと落ちそうになり、それからまるではねも何もしびれたようにだんだん低く落ちながら向こうへにげて行きました。 |
JCRRAG_010455 | 国語 | 土神の棲んでいる所は小さな競馬場ぐらいあり、冷たい湿地で苔やから草や短い蘆などが生えていましたがまた所々にはアザミや背の低いひどくねじれたヤナギなどもいました。
水がじめじめしてその表面にはあちこち赤い鉄の渋が湧きあがり見るからにどろどろで気味も悪いのでした。
そのまん中の小さな島のようになった所に丸太でこしらえた高さ一間ばかりの土神の祠があったのです。
土神はその島に帰って来て祠の横に長々と寝そべりました。そして黒いやせた脚をがりがり掻きました。土神は一羽の鳥が自分の頭の上をまっすぐに翔けて行くのを見ました。すぐ土神は起き上がって座り「しっ」と叫びました。鳥はびっくりしてよろよろっと落ちそうになり、それからまるではねも何もし... | 樺の木の立っている高みの方を見ると土神はどうなりましたか。 | はっと顔色を変えて棒立ちになりました。それからいかにもむしゃくしゃするという風にそのぼろぼろの髪の毛を両手で掻きむしっていました。 |
JCRRAG_010456 | 国語 | 土神の棲んでいる所は小さな競馬場ぐらいあり、冷たい湿地で苔やから草や短い蘆などが生えていましたがまた所々にはアザミや背の低いひどくねじれたヤナギなどもいました。
水がじめじめしてその表面にはあちこち赤い鉄の渋が湧きあがり見るからにどろどろで気味も悪いのでした。
そのまん中の小さな島のようになった所に丸太でこしらえた高さ一間ばかりの土神の祠があったのです。
土神はその島に帰って来て祠の横に長々と寝そべりました。そして黒いやせた脚をがりがり掻きました。土神は一羽の鳥が自分の頭の上をまっすぐに翔けて行くのを見ました。すぐ土神は起き上がって座り「しっ」と叫びました。鳥はびっくりしてよろよろっと落ちそうになり、それからまるではねも何もし... | 土神はきこりに向かって右手をそっちへ突き出して左手でその右手の手首をつかみ、こっちへ引き寄せるようにしたらどうなりましたか。 | おかしなことに木こりは路を歩いていると思いながらだんだん谷地の中に踏み込んで来るようでした。それからびっくりしたように足が早くなり顔も青ざめて口を開けて呼吸をしました。 |
JCRRAG_010457 | 国語 | 土神の棲んでいる所は小さな競馬場ぐらいあり、冷たい湿地で苔やから草や短い蘆などが生えていましたがまた所々にはアザミや背の低いひどくねじれたヤナギなどもいました。
水がじめじめしてその表面にはあちこち赤い鉄の渋が湧きあがり見るからにどろどろで気味も悪いのでした。
そのまん中の小さな島のようになった所に丸太でこしらえた高さ一間ばかりの土神の祠があったのです。
土神はその島に帰って来て祠の横に長々と寝そべりました。そして黒いやせた脚をがりがり掻きました。土神は一羽の鳥が自分の頭の上をまっすぐに翔けて行くのを見ました。すぐ土神は起き上がって座り「しっ」と叫びました。鳥はびっくりしてよろよろっと落ちそうになり、それからまるではねも何もし... | 空から青光りがどくどくと野原に流れて来ました。それを吸った木こりは起き上がってどうしましたか。 | 突然立って一目散ににげ出しました。三つ森山の方へ一目散ににげました。 |
JCRRAG_010458 | 国語 | 土神の棲んでいる所は小さな競馬場ぐらいあり、冷たい湿地で苔やから草や短い蘆などが生えていましたがまた所々にはアザミや背の低いひどくねじれたヤナギなどもいました。
水がじめじめしてその表面にはあちこち赤い鉄の渋が湧きあがり見るからにどろどろで気味も悪いのでした。
そのまん中の小さな島のようになった所に丸太でこしらえた高さ一間ばかりの土神の祠があったのです。
土神はその島に帰って来て祠の横に長々と寝そべりました。そして黒いやせた脚をがりがり掻きました。土神は一羽の鳥が自分の頭の上をまっすぐに翔けて行くのを見ました。すぐ土神は起き上がって座り「しっ」と叫びました。鳥はびっくりしてよろよろっと落ちそうになり、それからまるではねも何もし... | 土神の大声で笑った声が樺の木のところにも落ちたら、樺の木はどうしましたか。 | 樺の木ははっと顔色を変えて日光に青くすきとおりせわしくせわしくふるえました。 |
JCRRAG_010459 | 国語 | 八月のある霧のふかい晩でした。土神は何ともいえずさびしくてそれにむしゃくしゃして仕方ないのでふらっと自分の祠を出ました。足はいつの間にかあの樺の木の方へ向かっていたのです。本当に土神は樺の木のことを考えるとなぜか胸がどきっとするのでした。そしてとても切なくなるのです。このごろは大へんに気持ちが変わってよくなっていたのです。ですからなるべく狐のことなど樺の木のことなど考えたくないと思ったのでしたが、どうしてもそれが思い出されて仕方ありませんでした。おれは仮にも神じゃないか、一本の樺の木がおれに何の価値があると毎日毎日土神は繰り返して自分で自分に教えました。それでもどうしてもかなしくて仕方なかったのです。特にちょっとでもあの狐のことを... | 土神が狐のことを思い出すとどうなりましたか。 | ちょっとでもあの狐のことを思い出したらまるでからだが灼けるくらい辛かったのです。 |
JCRRAG_010460 | 国語 | 八月のある霧のふかい晩でした。土神は何ともいえずさびしくてそれにむしゃくしゃして仕方ないのでふらっと自分の祠を出ました。足はいつの間にかあの樺の木の方へ向かっていたのです。本当に土神は樺の木のことを考えるとなぜか胸がどきっとするのでした。そしてとても切なくなるのです。このごろは大へんに気持ちが変わってよくなっていたのです。ですからなるべく狐のことなど樺の木のことなど考えたくないと思ったのでしたが、どうしてもそれが思い出されて仕方ありませんでした。おれは仮にも神じゃないか、一本の樺の木がおれに何の価値があると毎日毎日土神は繰り返して自分で自分に教えました。それでもどうしてもかなしくて仕方なかったのです。特にちょっとでもあの狐のことを... | 土神が、自分が樺の木のとこへ行こうとしているのだということにハッキリと気が付いたらどうなりましたか。 | ずいぶんの間しばらく行かなかったのだから、ことによっては樺の木は自分を待っているのかも知れない、どうもそうらしい、そうだとすればとてもに気の毒だというような考えが強く土神に生まれて来ました。 |
JCRRAG_010461 | 国語 | 八月のある霧のふかい晩でした。土神は何ともいえずさびしくてそれにむしゃくしゃして仕方ないのでふらっと自分の祠を出ました。足はいつの間にかあの樺の木の方へ向かっていたのです。本当に土神は樺の木のことを考えるとなぜか胸がどきっとするのでした。そしてとても切なくなるのです。このごろは大へんに気持ちが変わってよくなっていたのです。ですからなるべく狐のことなど樺の木のことなど考えたくないと思ったのでしたが、どうしてもそれが思い出されて仕方ありませんでした。おれは仮にも神じゃないか、一本の樺の木がおれに何の価値があると毎日毎日土神は繰り返して自分で自分に教えました。それでもどうしてもかなしくて仕方なかったのです。特にちょっとでもあの狐のことを... | 狐と樺の木の望遠鏡の話を聞いて土神はどうしましたか。 | 土神は突然両手で耳を押さえて一目散に北の方へ走りました。 |
JCRRAG_010462 | 国語 | 八月のある霧のふかい晩でした。土神は何ともいえずさびしくてそれにむしゃくしゃして仕方ないのでふらっと自分の祠を出ました。足はいつの間にかあの樺の木の方へ向かっていたのです。本当に土神は樺の木のことを考えるとなぜか胸がどきっとするのでした。そしてとても切なくなるのです。このごろは大へんに気持ちが変わってよくなっていたのです。ですからなるべく狐のことなど樺の木のことなど考えたくないと思ったのでしたが、どうしてもそれが思い出されて仕方ありませんでした。おれは仮にも神じゃないか、一本の樺の木がおれに何の価値があると毎日毎日土神は繰り返して自分で自分に教えました。それでもどうしてもかなしくて仕方なかったのです。特にちょっとでもあの狐のことを... | 一目散に走って行った土神が倒れたのはどこですか。 | 息がつづかなくなってばったり倒れたところは三つ森山の麓でした。 |
JCRRAG_010463 | 国語 | とうとう秋になりました。樺の木はまだまっ青でしたがその辺のエノコログサはもうすっかり黄金の穂を出して風に光りところどころすずらんの実も赤く熟しました。
あるすきとおるように黄金の秋の日、土神はとても上機嫌でした。今年の夏からのいろいろな辛い思いが何だかぼうっとみんな立派なもやのようなものに変わって頭の上に環になってかかったように思いました。そしてもうあの不思議に意地の悪い性質もどこかへ行ってしまって、樺の木なども狐と話したいなら話すがいい、両方ともうれしくてはなすのならほんとうにいいことなんだ、今日はそのことを樺の木にいってやろうと思いながら土神は心も軽く樺の木の方へ歩いて行きました。
樺の木は遠くからそれを見ていました。
... | 土神は上機嫌になってなにをしましたか。 | 樺の木なども狐と話したいなら話すがいい、両方ともうれしくてはなすのならほんとうにいいことなんだ、今日はそのことを樺の木にいってやろうと思いながら土神は心も軽く樺の木の方へ歩いて行きました。 |
JCRRAG_010464 | 国語 | とうとう秋になりました。樺の木はまだまっ青でしたがその辺のエノコログサはもうすっかり黄金の穂を出して風に光りところどころすずらんの実も赤く熟しました。
あるすきとおるように黄金の秋の日、土神はとても上機嫌でした。今年の夏からのいろいろな辛い思いが何だかぼうっとみんな立派なもやのようなものに変わって頭の上に環になってかかったように思いました。そしてもうあの不思議に意地の悪い性質もどこかへ行ってしまって、樺の木なども狐と話したいなら話すがいい、両方ともうれしくてはなすのならほんとうにいいことなんだ、今日はそのことを樺の木にいってやろうと思いながら土神は心も軽く樺の木の方へ歩いて行きました。
樺の木は遠くからそれを見ていました。
... | 上機嫌な土神が歩いてくるのを見ていた樺の木はどうしましたか。 | 心配そうにぶるぶるふるえて待ちました。 |
JCRRAG_010465 | 国語 | とうとう秋になりました。樺の木はまだまっ青でしたがその辺のエノコログサはもうすっかり黄金の穂を出して風に光りところどころすずらんの実も赤く熟しました。
あるすきとおるように黄金の秋の日、土神はとても上機嫌でした。今年の夏からのいろいろな辛い思いが何だかぼうっとみんな立派なもやのようなものに変わって頭の上に環になってかかったように思いました。そしてもうあの不思議に意地の悪い性質もどこかへ行ってしまって、樺の木なども狐と話したいなら話すがいい、両方ともうれしくてはなすのならほんとうにいいことなんだ、今日はそのことを樺の木にいってやろうと思いながら土神は心も軽く樺の木の方へ歩いて行きました。
樺の木は遠くからそれを見ていました。
... | 狐の屍骸のレインコートの隠しポケットの中に入っていたのはなんですか。 | 隠しポケットの中には茶色いカモガヤの穂が二本入っていました。 |
JCRRAG_010466 | 国語 | とうとう秋になりました。樺の木はまだまっ青でしたがその辺のエノコログサはもうすっかり黄金の穂を出して風に光りところどころすずらんの実も赤く熟しました。
あるすきとおるように黄金の秋の日、土神はとても上機嫌でした。今年の夏からのいろいろな辛い思いが何だかぼうっとみんな立派なもやのようなものに変わって頭の上に環になってかかったように思いました。そしてもうあの不思議に意地の悪い性質もどこかへ行ってしまって、樺の木なども狐と話したいなら話すがいい、両方ともうれしくてはなすのならほんとうにいいことなんだ、今日はそのことを樺の木にいってやろうと思いながら土神は心も軽く樺の木の方へ歩いて行きました。
樺の木は遠くからそれを見ていました。
... | 土神がとび込んだ狐の穴の中はどうなっていましたか。 | 中はがらんとして暗く、ただ赤土が奇麗に固められているだけでした。 |
JCRRAG_010467 | 国語 | ある小雨の降る晩のことです。私を乗せた人力車は、何度も大森界隈の険しい坂を上ったり下りたりして、やっと竹藪に囲まれた小さな西洋館の前に梶棒を下ろしました。もう鼠色のペンキのはげかかった、狭苦しい玄関には、車夫の出した提灯の明りで見ると、インド人マティラム・ミスラと日本字で書いた、これだけは新しい、瀬戸物の表札がかかっています。
マティラム・ミスラ君といえば、もう皆さんの中にも、御存じの方が少なくないかも知れません。ミスラ君は長年インドの独立を計っているカルカッタ生まれの愛国者で、同時にまたハッサン・カンという名高いバラモンの秘法を学んだ、年の若い魔術の大家なのです。私はちょうど一月ばかり以前から、ある友人の紹介でミスラ君と交際し... | 瀬戸物の表札に書かれた名前はなんでしたか。 | 狭苦しい玄関には、車夫の出した提灯の明りで見ると、インド人マティラム・ミスラと日本字で書いた、これだけは新しい、瀬戸物の表札がかかっています。 |
JCRRAG_010468 | 国語 | ある小雨の降る晩のことです。私を乗せた人力車は、何度も大森界隈の険しい坂を上ったり下りたりして、やっと竹藪に囲まれた小さな西洋館の前に梶棒を下ろしました。もう鼠色のペンキのはげかかった、狭苦しい玄関には、車夫の出した提灯の明りで見ると、インド人マティラム・ミスラと日本字で書いた、これだけは新しい、瀬戸物の表札がかかっています。
マティラム・ミスラ君といえば、もう皆さんの中にも、御存じの方が少なくないかも知れません。ミスラ君は長年インドの独立を計っているカルカッタ生まれの愛国者で、同時にまたハッサン・カンという名高いバラモンの秘法を学んだ、年の若い魔術の大家なのです。私はちょうど一月ばかり以前から、ある友人の紹介でミスラ君と交際し... | マティラム・ミスラ君はどんな人物ですか。 | ミスラ君は長年インドの独立を計っているカルカッタ生まれの愛国者で、同時にまたハッサン・カンという名高いバラモンの秘法を学んだ、年の若い魔術の大家なのです。 |
JCRRAG_010469 | 国語 | ある小雨の降る晩のことです。私を乗せた人力車は、何度も大森界隈の険しい坂を上ったり下りたりして、やっと竹藪に囲まれた小さな西洋館の前に梶棒を下ろしました。もう鼠色のペンキのはげかかった、狭苦しい玄関には、車夫の出した提灯の明りで見ると、インド人マティラム・ミスラと日本字で書いた、これだけは新しい、瀬戸物の表札がかかっています。
マティラム・ミスラ君といえば、もう皆さんの中にも、御存じの方が少なくないかも知れません。ミスラ君は長年インドの独立を計っているカルカッタ生まれの愛国者で、同時にまたハッサン・カンという名高いバラモンの秘法を学んだ、年の若い魔術の大家なのです。私はちょうど一月ばかり以前から、ある友人の紹介でミスラ君と交際し... | 私が呼び鈴のボタンを押すと出てきたのはだれですか。 | 玄関へ顔を出したのは、ミスラ君の世話をしている、背の低い日本人のお婆さんです。 |
JCRRAG_010470 | 国語 | 「どうですか。訳はないでしょう。今度は、このランプをごらんなさい。」
ミスラ君はこう言いながら、ちょいとテーブルの上のランプを置き直しましたが、その拍子にどういう訳か、ランプはまるでコマのように、ぐるぐる回り始めました。それもちゃんと一か所に止まったまま、ホヤを心棒のようにして、勢いよく回り始めたのです。はじめの内は私も大層驚いて、万が一にでも火事になっては大変だと、何度もひやひやしましたが、ミスラ君は静かに紅茶を飲みながら、一向に騒ぐようすもありません。そこで私もしまいには、すっかり度胸がすわってしまって、だんだん早くなるランプの運動を、眼も離さず眺めていました。
また実際ランプの蓋が風を起こして回る中に、黄色い焔がたった一つ... | ミスラ君が書棚に手をさし伸ばすとどうなりましたか。 | 今度は書棚に並んでいた書物が一冊ずつ動き出して、自然にテーブルの上まで飛んで来ました。そのまた飛び方が両方へ表紙を開いて、夏の夕方に飛び交うコウモリのように、ひらひらと宙へ舞い上るのです。私は葉巻を口にくわえたまま、呆気にとられて見ていましたが、書物はうす暗いランプの光の中に何冊も自由に飛び回って、ひとつひとつ行儀よくテーブルの上へピラミッドの形に積み上がりました。しかも残らずこちらへ移ってしまったと思うと、すぐに最初に来たのから動き出して、もとの書棚へ順々に飛び返って行くじゃありませんか。 |
JCRRAG_010471 | 国語 | 「どうですか。訳はないでしょう。今度は、このランプをごらんなさい。」
ミスラ君はこう言いながら、ちょいとテーブルの上のランプを置き直しましたが、その拍子にどういう訳か、ランプはまるでコマのように、ぐるぐる回り始めました。それもちゃんと一か所に止まったまま、ホヤを心棒のようにして、勢いよく回り始めたのです。はじめの内は私も大層驚いて、万が一にでも火事になっては大変だと、何度もひやひやしましたが、ミスラ君は静かに紅茶を飲みながら、一向に騒ぐようすもありません。そこで私もしまいには、すっかり度胸がすわってしまって、だんだん早くなるランプの運動を、眼も離さず眺めていました。
また実際ランプの蓋が風を起こして回る中に、黄色い焔がたった一つ... | ミスラ君の魔術によって、私の膝へさっと下りて来た書物はなんでしたか。 | 私が一週間ばかり前にミスラ君へ貸した覚えがある、フランスの新しい小説でした。 |
JCRRAG_010472 | 国語 | 私は夢からさめたような気持ちで、しばらくは挨拶さえ出来ませんでしたが、その内にさっきミスラ君の言った、「私の魔術などというものは、あなたでも使おうと思えば使えるのです。」という言葉を思い出しましたから、
「いや、以前から評判は聞いていましたが、あなたのお使いなさる魔術が、これほど不思議なものだろうとは、実際、思いもよりませんでした。ところで私のような人間にも、使って使えないことがないと言うのは、ご冗談ではないのですか。」
「使えますとも。誰にでもたやすく使えます。ただ」と言いかけてミスラ君はじっと私の顔を眺めながら、いつになく真面目な口調になって、
「ただ、欲のある人間には使えません。ハッサン・カンの魔術を習おうと思ったら、まず欲を... | ミスラ君の魔術を使うにはどうすればいいとミスラ君は言いましたか。 | ミスラ君はじっと私の顔を眺めながら、いつになく真面目な口調になって、「ただ、欲のある人間には使えません。ハッサン・カンの魔術を習おうと思ったら、まず欲を捨てることです。あなたにはそれが出来ますか。」と聞いてきました。 |
JCRRAG_010473 | 国語 | 私がミスラ君に魔術を教わってから、一月ばかりたった後のことです。これもやはりざあざあ雨の降る晩でしたが、私は銀座のあるクラブの一室で、五・六人の友人と、暖炉の前へ陣取りながら、気軽な雑談に耽っていました。
何しろここは東京の中心ですから、窓の外に降る雨脚も、ひっきりなしに往来する自働車や馬車の屋根を濡らすせいか、あの、大森の竹藪にしぶくような、ものさびしい音は聞えません。
もちろん窓の内の陽気なことも、明るい電燈の光といい、大きなモロッコ皮の椅子といい、あるいはまた滑かに光っている寄木細工の床といい、見るからに精霊でも出て来そうな、ミスラ君の部屋などとは、まるで比べものにはならないのです。
私たちは葉巻の煙の中に、しばらくは猟... | 私が魔術を使って掌の上の石炭の火を床へ撒き散らしたらどうなりましたか。 | まっ赤な石炭の火が、私の手の平を離れると同時に、無数の美しい金貨になって、雨のように床の上へこぼれ落ちました。 |
JCRRAG_010474 | 国語 | 私がミスラ君に魔術を教わってから、一月ばかりたった後のことです。これもやはりざあざあ雨の降る晩でしたが、私は銀座のあるクラブの一室で、五・六人の友人と、暖炉の前へ陣取りながら、気軽な雑談に耽っていました。
何しろここは東京の中心ですから、窓の外に降る雨脚も、ひっきりなしに往来する自働車や馬車の屋根を濡らすせいか、あの、大森の竹藪にしぶくような、ものさびしい音は聞えません。
もちろん窓の内の陽気なことも、明るい電燈の光といい、大きなモロッコ皮の椅子といい、あるいはまた滑かに光っている寄木細工の床といい、見るからに精霊でも出て来そうな、ミスラ君の部屋などとは、まるで比べものにはならないのです。
私たちは葉巻の煙の中に、しばらくは猟... | 私が魔術で出した金貨はほんとうの金貨でしたか。 | 友人の一人は恐る恐る、床の上の金貨を手にとって見ましたが、「なるほど、こりゃほんとうの金貨だ」友人は納得しました。 |
JCRRAG_010475 | 国語 | 私がミスラ君に魔術を教わってから、一月ばかりたった後のことです。これもやはりざあざあ雨の降る晩でしたが、私は銀座のあるクラブの一室で、五・六人の友人と、暖炉の前へ陣取りながら、気軽な雑談に耽っていました。
何しろここは東京の中心ですから、窓の外に降る雨脚も、ひっきりなしに往来する自働車や馬車の屋根を濡らすせいか、あの、大森の竹藪にしぶくような、ものさびしい音は聞えません。
もちろん窓の内の陽気なことも、明るい電燈の光といい、大きなモロッコ皮の椅子といい、あるいはまた滑かに光っている寄木細工の床といい、見るからに精霊でも出て来そうな、ミスラ君の部屋などとは、まるで比べものにはならないのです。
私たちは葉巻の煙の中に、しばらくは猟... | 私は魔術で出した金貨をどうすると言いましたか。 | 私はやはり椅子によりかかったまま、悠然と葉巻の煙を吐いて、「いや、僕の魔術というやつは、一旦欲の心を起こしたら、二度と使うことが出来ないのだ。だからこの金貨にしても、君たちが見てしまった上は、すぐにまた元の暖炉の中へほうりこんでしまおうと思っている。」と言いました。 |
JCRRAG_010476 | 国語 | 私がミスラ君に魔術を教わってから、一月ばかりたった後のことです。これもやはりざあざあ雨の降る晩でしたが、私は銀座のあるクラブの一室で、五・六人の友人と、暖炉の前へ陣取りながら、気軽な雑談に耽っていました。
何しろここは東京の中心ですから、窓の外に降る雨脚も、ひっきりなしに往来する自働車や馬車の屋根を濡らすせいか、あの、大森の竹藪にしぶくような、ものさびしい音は聞えません。
もちろん窓の内の陽気なことも、明るい電燈の光といい、大きなモロッコ皮の椅子といい、あるいはまた滑かに光っている寄木細工の床といい、見るからに精霊でも出て来そうな、ミスラ君の部屋などとは、まるで比べものにはならないのです。
私たちは葉巻の煙の中に、しばらくは猟... | 私が金貨を暖炉の中へとほうりこんでしまおうと思っていると言ったら友人はどうしましたか。 | 友人たちは私の言葉を聞くと、打ち合わせしたかのように、反対し始めました。これだけの大金を元の石炭にしてしまうのは、もったいない話だと言うのです。が、私はミスラ君に約束した手前もありますから、どうしても暖炉にほうりこむと、剛情に友人たちと争いました。 |
JCRRAG_010477 | 国語 | その友人たちの中でも、一番狡猾だという評判のある奴が、鼻の先で、せせら笑いながら、
「君はこの金貨を元の石炭にしようと言う。僕たちはまたしたくないと言う。それじゃいつまでたった所で、議論が終わらないのは当たり前だろう。そこで僕が思うには、この金貨を元手にして、君が僕たちとかるたをするのだ。そうしてもし君が勝ったなら、石炭にするとも何にするとも、自由に君が始末するがいい。が、もし僕たちが勝ったなら、金貨のまま僕たちへ渡したまえ。そうすればお互いの意見も立って、至極満足するじゃないか。」
という提案をしました。
それでも私はまだ首を振って、簡単にはその申し出に賛成しようとはしませんでした。ところがその友人は、いよいよあざけるような笑み... | 友人の中でも一番狡猾な奴の提案を私はうけましたか。 | それでも私はまだ首を振って、簡単にはその申し出に賛成しようとはしませんでした。 |
JCRRAG_010478 | 国語 | その友人たちの中でも、一番狡猾だという評判のある奴が、鼻の先で、せせら笑いながら、
「君はこの金貨を元の石炭にしようと言う。僕たちはまたしたくないと言う。それじゃいつまでたった所で、議論が終わらないのは当たり前だろう。そこで僕が思うには、この金貨を元手にして、君が僕たちとかるたをするのだ。そうしてもし君が勝ったなら、石炭にするとも何にするとも、自由に君が始末するがいい。が、もし僕たちが勝ったなら、金貨のまま僕たちへ渡したまえ。そうすればお互いの意見も立って、至極満足するじゃないか。」
という提案をしました。
それでも私はまだ首を振って、簡単にはその申し出に賛成しようとはしませんでした。ところがその友人は、いよいよあざけるような笑み... | 私はかるたの勝負をはじめてどうなりましたか。 | 私も仕方がなく、しばらくの間は友人たちを相手に、いやいやかるたをしていました。が、どういうものか、その夜に限って、ふだんは格別かるた上手でもない私が、嘘のようにどんどん勝つのです。するとまた妙なもので、始めは気乗りもしなかったのが、だんだん面白くなり始めて、ものの十分とたたない内に、いつか私は全てを忘れて、熱心にかるたを引き始めました。 |
JCRRAG_010479 | 国語 | その友人たちの中でも、一番狡猾だという評判のある奴が、鼻の先で、せせら笑いながら、
「君はこの金貨を元の石炭にしようと言う。僕たちはまたしたくないと言う。それじゃいつまでたった所で、議論が終わらないのは当たり前だろう。そこで僕が思うには、この金貨を元手にして、君が僕たちとかるたをするのだ。そうしてもし君が勝ったなら、石炭にするとも何にするとも、自由に君が始末するがいい。が、もし僕たちが勝ったなら、金貨のまま僕たちへ渡したまえ。そうすればお互いの意見も立って、至極満足するじゃないか。」
という提案をしました。
それでも私はまだ首を振って、簡単にはその申し出に賛成しようとはしませんでした。ところがその友人は、いよいよあざけるような笑み... | 友人が全財産を賭けた勝負を持ち掛けたら、私はどうしましたか。 | 私はこの瞬間に欲が出ました。テーブルの上に積んである、山のような金貨ばかりか、せっかく私が勝った金さえ、今度運悪く負けたが最後、皆相手の友人に取られてしまわなければなりません。のみならずこの勝負に勝ちさえすれば、私は向こうの全財産を一度に手に入れることが出来るのです。こんな時に使わなければどこで魔術などを教わった、苦労の甲斐があるのでしょう。そう思うと私は矢も楯もたまらなくなって、そっと魔術を使いました。 |
JCRRAG_010480 | 国語 | その友人たちの中でも、一番狡猾だという評判のある奴が、鼻の先で、せせら笑いながら、
「君はこの金貨を元の石炭にしようと言う。僕たちはまたしたくないと言う。それじゃいつまでたった所で、議論が終わらないのは当たり前だろう。そこで僕が思うには、この金貨を元手にして、君が僕たちとかるたをするのだ。そうしてもし君が勝ったなら、石炭にするとも何にするとも、自由に君が始末するがいい。が、もし僕たちが勝ったなら、金貨のまま僕たちへ渡したまえ。そうすればお互いの意見も立って、至極満足するじゃないか。」
という提案をしました。
それでも私はまだ首を振って、簡単にはその申し出に賛成しようとはしませんでした。ところがその友人は、いよいよあざけるような笑み... | 私が恥ずかしそうに頭を下げたまま、しばらくは口もきけなかったのはなぜですか。 | 私が一月ばかり経ったと思ったのは、ほんの二・三分の間に見た、ミスラ君による催眠術が見せた夢だったのに違いありません。けれどもその二・三分の短い間に、私がハッサン・カンの魔術の秘法を習う資格のない人間だということは、私自身にもミスラ君にも、明らかになってしまったのです。 |
JCRRAG_010481 | 国語 | 「きみ! ブルはなまいきじゃないか?」と、一人が小声で、ささやくと、
「そうだよ、ブルはなまいきだとも! あんなにいばる男は、世界じゅうにないぜ」と、別の一人が答える。しかし、これも小声だ。
みんなが「ブルはなまいきだ」という。けれど、大きな声でいうものは一人もない。ブルにきこえたら、それこそ、どんな目にあわされるかしれないからだ。なにしろブルは強い。すごく強いんだ。ボクシングのトップ選手だし、おまけに、非常ならんぼうものだ。だれ一人、ブルにかなうものはない。
「来たよ来たよ、だまって!」
ブルがくると、だれもがだまってしまう。うっかりして、相手になると、すぐにらんぼうされるからだ。それほど、みんながブルのことを、こわがってる。... | ブルはなまいきだとみんなが小声で言い合うのはなぜですか。 | みんなが「ブルはなまいきだ」という。けれど、大きな声でいうものは一人もない。ブルにきこえたら、それこそ、どんな目にあわされるかしれないからだ。 |
JCRRAG_010482 | 国語 | 「きみ! ブルはなまいきじゃないか?」と、一人が小声で、ささやくと、
「そうだよ、ブルはなまいきだとも! あんなにいばる男は、世界じゅうにないぜ」と、別の一人が答える。しかし、これも小声だ。
みんなが「ブルはなまいきだ」という。けれど、大きな声でいうものは一人もない。ブルにきこえたら、それこそ、どんな目にあわされるかしれないからだ。なにしろブルは強い。すごく強いんだ。ボクシングのトップ選手だし、おまけに、非常ならんぼうものだ。だれ一人、ブルにかなうものはない。
「来たよ来たよ、だまって!」
ブルがくると、だれもがだまってしまう。うっかりして、相手になると、すぐにらんぼうされるからだ。それほど、みんながブルのことを、こわがってる。... | ブルはなまいきじゃないか?と、一人が小声でささやくとどうなりますか。 | 「そうだよ、ブルはなまいきだとも! あんなにいばる男は、世界じゅうにないぜ」と、別の一人が答える。しかし、これも小声だ。 |
JCRRAG_010483 | 国語 | 「きみ! ブルはなまいきじゃないか?」と、一人が小声で、ささやくと、
「そうだよ、ブルはなまいきだとも! あんなにいばる男は、世界じゅうにないぜ」と、別の一人が答える。しかし、これも小声だ。
みんなが「ブルはなまいきだ」という。けれど、大きな声でいうものは一人もない。ブルにきこえたら、それこそ、どんな目にあわされるかしれないからだ。なにしろブルは強い。すごく強いんだ。ボクシングのトップ選手だし、おまけに、非常ならんぼうものだ。だれ一人、ブルにかなうものはない。
「来たよ来たよ、だまって!」
ブルがくると、だれもがだまってしまう。うっかりして、相手になると、すぐにらんぼうされるからだ。それほど、みんながブルのことを、こわがってる。... | ブルはポールがほんとうの名前なのになぜブルといわれるのですか。 | 「ブルドッグ」と、いまみんなが「なまいき」だというブルとは、顔も、からだつきも、かみついたら、死んでもはなさないというすごい性質まで、そっくり似てるんだ。いや、似てるから「ブル」とあだ名をつけたのだ。 |
JCRRAG_010484 | 国語 | ブルは、みんながだまって、相手にしなくなったから、二、三日前から一人でおこってる。おこっても、相手がいないから、けんかができない。そこで、洗濯代をはらわないのだ。すると、洗濯屋のジョージが、さいそくにきた。この洗濯屋のジョージも強い。牧場で牛があばれだしたとき、走っていってとりおさえたのは、ほかでもないこのジョージだった。
「ポールさん、洗濯代をはらってください」と、ジョージがブルに対して言うと、
「なに?」ブルが下あごをつき出して、喧嘩ができるとニヤリとわらった。
さあブルのらんぼうがはじまるぞ! と、みんなが青くなった。ちょうど食堂にいたときだ。中には焼き肉を半分、食いかけたままで、コソコソと逃げだしたものもいる。ぼくは、この... | 牧場で牛があばれだしたとき、とりおさえたのは誰ですか。 | 牧場で牛があばれだしたとき、走っていってとりおさえたのは、ほかでもないこのジョージだった。 |
JCRRAG_010485 | 国語 | ブルは、みんながだまって、相手にしなくなったから、二、三日前から一人でおこってる。おこっても、相手がいないから、けんかができない。そこで、洗濯代をはらわないのだ。すると、洗濯屋のジョージが、さいそくにきた。この洗濯屋のジョージも強い。牧場で牛があばれだしたとき、走っていってとりおさえたのは、ほかでもないこのジョージだった。
「ポールさん、洗濯代をはらってください」と、ジョージがブルに対して言うと、
「なに?」ブルが下あごをつき出して、喧嘩ができるとニヤリとわらった。
さあブルのらんぼうがはじまるぞ! と、みんなが青くなった。ちょうど食堂にいたときだ。中には焼き肉を半分、食いかけたままで、コソコソと逃げだしたものもいる。ぼくは、この... | ブルの喧嘩をみんなが止めないで逃げるのはなぜですか。 | ケンカを止めたりしたら、あとで、「ヤイ、なぜとめた。おれの勝つけんかを、なぜとめた」と、ブルがくってかかる。しかし、だまって見てたら、「きさま、なんで見てた。なぜ加勢しなかったんだ」と、やはりおこってくる。もしも加勢したら、「オイ、おれが弱いと思ったのか。さあこい、きさまが相手だ」と、どうしてもつっかかってくる。それを知ってるから、みんなが逃げだしてしまった。 |
JCRRAG_010486 | 国語 | ブルは、牛より強いジョージに勝ってから、いよいよらんぼうになった。洗濯代ばかりでなく、倶楽部の代金まで、まるではらわなくなった。この倶楽部というのは、学生の寄宿舎なのだ。名前を「ラサハ倶楽部」という。「ラサハ」というのは、ギリシャのことばで、「友だちの愛」という意味だ。ところが、ブル一人のらんぼうで、みんながビクビクしてる。「友だちの愛」が、ブルのために、やぶれてるのだ。このみんなは、カリフォルニア大学の学生で、その大学は、米国の大都会サンフランシスコにある。ぼくは、和歌山中学を卒業してから、このカリフォルニア大学へはいって、そして、ラサハ倶楽部に、寄宿していたのだ。日本人はぼくばかり、ほかはみんな、米国人だ。ブルを合わせて四十八人... | フランクは内村の部屋に来てどうしましたか。 | ほんとうにこまってる顔をしながら、「内村君、ブルのやつが、下宿代をはらわないんだ。しかし、追い出すといったりしたら、それこそたいへんだしね。どうしたものだろう?」と、相談しだした。 |
JCRRAG_010487 | 国語 | ブルは、牛より強いジョージに勝ってから、いよいよらんぼうになった。洗濯代ばかりでなく、倶楽部の代金まで、まるではらわなくなった。この倶楽部というのは、学生の寄宿舎なのだ。名前を「ラサハ倶楽部」という。「ラサハ」というのは、ギリシャのことばで、「友だちの愛」という意味だ。ところが、ブル一人のらんぼうで、みんながビクビクしてる。「友だちの愛」が、ブルのために、やぶれてるのだ。このみんなは、カリフォルニア大学の学生で、その大学は、米国の大都会サンフランシスコにある。ぼくは、和歌山中学を卒業してから、このカリフォルニア大学へはいって、そして、ラサハ倶楽部に、寄宿していたのだ。日本人はぼくばかり、ほかはみんな、米国人だ。ブルを合わせて四十八人... | 内村がフランクに「ブルが相手なら小指一本さ」と言ったらどうなりましたか。 | フランクが、いきなり立ち上がった。と思うと、「きみはラサハ倶楽部の救い主だ!」と、大声でさけびだしながら、部屋を出ていってしまった。 |
JCRRAG_010488 | 国語 | これからがたいへんだ。フランクが倶楽部中の者に、「内村は小指一本でポールに勝つといってる」と話したらしい。すぐにポールのブルがききつけて、カンカンにおこったのだ。いきなり、ボクシングの試合をぼくに申し込んできた。どうもしかたがない。「よろしい。やろう!」とぼくもすぐに返事した。すると、この試合の評判が、大学中にひろがってしまった。大学でもポールの別の名はブルだ。そこで、
「ブルを小指一本で、日本人の内村が、投げとばすそうだ」という大評判なのだ。小指のことを、英語で「赤ん坊の指」という。大きな牛のようなブルを、赤ん坊の指一本でなげとばすというんだから、この大評判が、とうとう、新聞にまで出てしまった。いよいよ、大さわぎになって、ミス・ネ... | ブルがボクシングの試合をぼくに申し込んできたら、ぼくはどうしましたか。 | 「よろしい。やろう!」とぼくもすぐに返事した。 |
JCRRAG_010489 | 国語 | これからがたいへんだ。フランクが倶楽部中の者に、「内村は小指一本でポールに勝つといってる」と話したらしい。すぐにポールのブルがききつけて、カンカンにおこったのだ。いきなり、ボクシングの試合をぼくに申し込んできた。どうもしかたがない。「よろしい。やろう!」とぼくもすぐに返事した。すると、この試合の評判が、大学中にひろがってしまった。大学でもポールの別の名はブルだ。そこで、
「ブルを小指一本で、日本人の内村が、投げとばすそうだ」という大評判なのだ。小指のことを、英語で「赤ん坊の指」という。大きな牛のようなブルを、赤ん坊の指一本でなげとばすというんだから、この大評判が、とうとう、新聞にまで出てしまった。いよいよ、大さわぎになって、ミス・ネ... | ブルと内村の試合が人気になってミス・ネールという金持ちのお嬢さんはどうしましたか。 | ミス・ネールという金持ちのお嬢さんは、この試合に二十万円の懸賞金を出すと、これまた新聞に書かせてしまった。 |
JCRRAG_010490 | 国語 | これからがたいへんだ。フランクが倶楽部中の者に、「内村は小指一本でポールに勝つといってる」と話したらしい。すぐにポールのブルがききつけて、カンカンにおこったのだ。いきなり、ボクシングの試合をぼくに申し込んできた。どうもしかたがない。「よろしい。やろう!」とぼくもすぐに返事した。すると、この試合の評判が、大学中にひろがってしまった。大学でもポールの別の名はブルだ。そこで、
「ブルを小指一本で、日本人の内村が、投げとばすそうだ」という大評判なのだ。小指のことを、英語で「赤ん坊の指」という。大きな牛のようなブルを、赤ん坊の指一本でなげとばすというんだから、この大評判が、とうとう、新聞にまで出てしまった。いよいよ、大さわぎになって、ミス・ネ... | 内村はブルと試合することになって困ったのはなぜですか。 | 和歌山中学で関口流の柔道を、初段くらいまでおそわったのだ。だから、ブルを別にこわがりもしないし、試合したって、三回やって三回とも負けるとは思わない。が、しかし、なにしろ「小指一本」には、どうしたらいいか、自分でもわからないんだ。 |
JCRRAG_010491 | 国語 | これからがたいへんだ。フランクが倶楽部中の者に、「内村は小指一本でポールに勝つといってる」と話したらしい。すぐにポールのブルがききつけて、カンカンにおこったのだ。いきなり、ボクシングの試合をぼくに申し込んできた。どうもしかたがない。「よろしい。やろう!」とぼくもすぐに返事した。すると、この試合の評判が、大学中にひろがってしまった。大学でもポールの別の名はブルだ。そこで、
「ブルを小指一本で、日本人の内村が、投げとばすそうだ」という大評判なのだ。小指のことを、英語で「赤ん坊の指」という。大きな牛のようなブルを、赤ん坊の指一本でなげとばすというんだから、この大評判が、とうとう、新聞にまで出てしまった。いよいよ、大さわぎになって、ミス・ネ... | ぼくの小指に注目が集まったのはなぜですか。 | 日本の柔道には、小指一本で勝つ術があるのだと、みんなが信じてるのだ。だから注目が集まったのだろう。 |
JCRRAG_010492 | 国語 | ブルとぼくの小指一本の試合だ!
ブルは牛みたいなからだで、ボクシングの準備をして、堂々とあらわれた。ぼくは背広服の上着を脱いだだけだ。柔道の稽古着も持ってないし、わざと平気な顔をして出ていくと、
「ワーッ」と、四方の見物席はたいへんなさわぎだ。そこでブルとぼくは両方にはなれて立った。
審判官のフランクが、時計を見ながら、
「はじめ!」と、ふるえ声でいった。第一回の勝負は三分できめるんだ。
見ると、ブル、今日はまた一段とすごい顔をしかめて、両手を前につき出しながら、ジリジリ、ジリジリとよってくる。きたナ! と、ぼくも身構えながら、ヒョイと顔の前に左の小指を出してふった。すると、
「ワアーッ! ワアーッ!」と、何千人という見物人... | ぼくが小指を出して振ったらブルはどうなりましたか。 | ブルがまっかになった。ぼくの小指を、にらみながら、目が血走っている。ぼくはヒクヒクとまた小指をふって見せた。ブルがまっさおになってきた。小指一本が、どんな術があるのかと、気味がわるいらしい。一メートルほど前から近寄ってこない。両腕を上下につき出して、顔を低くして、一生懸命に、ぼくの小指を、にらんでる。そのまま身動きもしない。 |
JCRRAG_010493 | 国語 | ブルとぼくの小指一本の試合だ!
ブルは牛みたいなからだで、ボクシングの準備をして、堂々とあらわれた。ぼくは背広服の上着を脱いだだけだ。柔道の稽古着も持ってないし、わざと平気な顔をして出ていくと、
「ワーッ」と、四方の見物席はたいへんなさわぎだ。そこでブルとぼくは両方にはなれて立った。
審判官のフランクが、時計を見ながら、
「はじめ!」と、ふるえ声でいった。第一回の勝負は三分できめるんだ。
見ると、ブル、今日はまた一段とすごい顔をしかめて、両手を前につき出しながら、ジリジリ、ジリジリとよってくる。きたナ! と、ぼくも身構えながら、ヒョイと顔の前に左の小指を出してふった。すると、
「ワアーッ! ワアーッ!」と、何千人という見物人... | ぼくに背負いなげされたブルはどうなりましたか。 | テニスコートのかたいコンクリートの上へ、背負いなげでたたきつけられて、のびている。 |
JCRRAG_010494 | 国語 | ブルとぼくの小指一本の試合だ!
ブルは牛みたいなからだで、ボクシングの準備をして、堂々とあらわれた。ぼくは背広服の上着を脱いだだけだ。柔道の稽古着も持ってないし、わざと平気な顔をして出ていくと、
「ワーッ」と、四方の見物席はたいへんなさわぎだ。そこでブルとぼくは両方にはなれて立った。
審判官のフランクが、時計を見ながら、
「はじめ!」と、ふるえ声でいった。第一回の勝負は三分できめるんだ。
見ると、ブル、今日はまた一段とすごい顔をしかめて、両手を前につき出しながら、ジリジリ、ジリジリとよってくる。きたナ! と、ぼくも身構えながら、ヒョイと顔の前に左の小指を出してふった。すると、
「ワアーッ! ワアーッ!」と、何千人という見物人... | 内村は目をまわしてるブルに「腹活」をしたらどうなりましたか。 | ブルが、うなると、ムクムク起きあがったが、ぼくの顔と小指を見ると、おそろしそうに顔色をかえた。 |
JCRRAG_010495 | 国語 | 伊藤豊治青年が洗面を済まして着替えをしているところへ、制服を着たボーイが朝のコーヒーを運んで来た。
「お早うございます」
「ああお早う」
「よくおやすみになれましたか」
伊藤青年はネクタイを結びながら、ボーイの支度するコーヒーのテーブルに向かって掛けた。あまり機嫌のよい顔つきではない。
「よく眠れなかったよ」
伊藤青年はボーイの質問に首を振った。
「君、一体この向こうの部屋にはどんな客が泊まっているんだい? ひと晩中へんな音をたてたり妙な声をしたり、本当に困ったよ」
「向こうの部屋と申しますと?」
ボーイは不思議そうに伊藤を見た。
「廊下の向こうさ、この翼屋で、向こうといえばここと廊下の向こうと二部屋しか無いじゃないか」
伊藤がド... | 伊藤はボーイのよくおやすみになれましたかという質問になんと答えましたか。 | 「よく眠れなかったよ」伊藤青年はボーイの質問に首を振った。 |
JCRRAG_010496 | 国語 | 伊藤豊治青年が洗面を済まして着替えをしているところへ、制服を着たボーイが朝のコーヒーを運んで来た。
「お早うございます」
「ああお早う」
「よくおやすみになれましたか」
伊藤青年はネクタイを結びながら、ボーイの支度するコーヒーのテーブルに向かって掛けた。あまり機嫌のよい顔つきではない。
「よく眠れなかったよ」
伊藤青年はボーイの質問に首を振った。
「君、一体この向こうの部屋にはどんな客が泊まっているんだい? ひと晩中へんな音をたてたり妙な声をしたり、本当に困ったよ」
「向こうの部屋と申しますと?」
ボーイは不思議そうに伊藤を見た。
「廊下の向こうさ、この翼屋で、向こうといえばここと廊下の向こうと二部屋しか無いじゃないか」
伊藤がド... | 伊藤がゆうべこのホテルに一人で泊まることになったのはなぜか。 | 恩師の鹿谷弘吉博士が、ある研究報告をするため上京した後を追って、その助手を勤めるために昨夜東京へ着いたのである。ところがこのホテルへ来てみると、博士は研究上やらなきゃいけない仕事ができて仙台へ出張したということで、伊藤青年はゆうべ一人でホテルへ泊まったのであった。 |
JCRRAG_010497 | 国語 | 伊藤豊治青年が洗面を済まして着替えをしているところへ、制服を着たボーイが朝のコーヒーを運んで来た。
「お早うございます」
「ああお早う」
「よくおやすみになれましたか」
伊藤青年はネクタイを結びながら、ボーイの支度するコーヒーのテーブルに向かって掛けた。あまり機嫌のよい顔つきではない。
「よく眠れなかったよ」
伊藤青年はボーイの質問に首を振った。
「君、一体この向こうの部屋にはどんな客が泊まっているんだい? ひと晩中へんな音をたてたり妙な声をしたり、本当に困ったよ」
「向こうの部屋と申しますと?」
ボーイは不思議そうに伊藤を見た。
「廊下の向こうさ、この翼屋で、向こうといえばここと廊下の向こうと二部屋しか無いじゃないか」
伊藤がド... | 伊藤がドアに向かって顎をしゃくるとボーイはどうしましたか。 | ボーイはなにか思い当たる事があるらしく、サッと顔色を変えながら眼をそらした。 |
JCRRAG_010498 | 国語 | 伊藤豊治青年が洗面を済まして着替えをしているところへ、制服を着たボーイが朝のコーヒーを運んで来た。
「お早うございます」
「ああお早う」
「よくおやすみになれましたか」
伊藤青年はネクタイを結びながら、ボーイの支度するコーヒーのテーブルに向かって掛けた。あまり機嫌のよい顔つきではない。
「よく眠れなかったよ」
伊藤青年はボーイの質問に首を振った。
「君、一体この向こうの部屋にはどんな客が泊まっているんだい? ひと晩中へんな音をたてたり妙な声をしたり、本当に困ったよ」
「向こうの部屋と申しますと?」
ボーイは不思議そうに伊藤を見た。
「廊下の向こうさ、この翼屋で、向こうといえばここと廊下の向こうと二部屋しか無いじゃないか」
伊藤がド... | みどりは伊藤青年からなんと呼ばれていますか。 | 電話をかけてきたのは妹のみどりだった。伊藤青年とは七つ違いの今年十八歳で、伊藤青年からはみどりの下の二字だけ取って「ドーリイ」と呼ばれているおてんばな女学生だ。 |
JCRRAG_010499 | 国語 | 「やっぱりそうよ」
みどりは電話を切って母の方へ振り返った。
「で、一体どうしたんだって?」
「なんだか秘密を要する研究報告のために、鹿谷博士と御一緒に上京したんですって、だからそれが済むまでは家へ来られないって」
「そう、じゃあおまえ、福岡の方へ送るつもりで用意しといたズボン下やシャツを持って行ってあげなさい」
「そうね、どうせ学校の帰りに麻布の村上さんを訪ねるお約束だから行くわ、そして汚れ物があったら持って来るわね」
一年ぶりに兄に会えると思うと、みどりはもう心もうきうきとして来るのだった。
みどりの学校が終わったのが午後四時だった。
それから片町の友達を訪ねたが、無理に引き留められて、六本木の近くにある山手ホテルへ着いた... | みどりの学校が終わったのは何時ですか。 | みどりの学校が終わったのが午後四時だった。 |
JCRRAG_010500 | 国語 | 「やっぱりそうよ」
みどりは電話を切って母の方へ振り返った。
「で、一体どうしたんだって?」
「なんだか秘密を要する研究報告のために、鹿谷博士と御一緒に上京したんですって、だからそれが済むまでは家へ来られないって」
「そう、じゃあおまえ、福岡の方へ送るつもりで用意しといたズボン下やシャツを持って行ってあげなさい」
「そうね、どうせ学校の帰りに麻布の村上さんを訪ねるお約束だから行くわ、そして汚れ物があったら持って来るわね」
一年ぶりに兄に会えると思うと、みどりはもう心もうきうきとして来るのだった。
みどりの学校が終わったのが午後四時だった。
それから片町の友達を訪ねたが、無理に引き留められて、六本木の近くにある山手ホテルへ着いた... | みどりがホテルに着いた頃には何時でしたか。 | 片町の友達を訪ねたが、無理に引き留められて、六本木の近くにある山手ホテルへ着いたのは午後七時を過ぎた頃だった。 |
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